使用者の労働時間の管理について

相談内容

我が社では、従業員の労働時間についてタイムカードは使っていません。

各従業員の自己申告に委ねていますが、誰も時間外の労働時間を申告していません。

本当は時間外労働があるのですが、自己申告制を採用している以上はやむを得ないと思っています。

実際、労働時間の証拠もないのですから、このまま時間外の残業を払わなくても大丈夫ですよね?

 

POINT

労働時間を把握するのは使用者の義務です。

自己申告制を採用するとしても、実際の労働時間を反映させるように努めるべきです。

御社の状況では、いつ労働者から残業代の請求を受けるかわからない状態ですので、一度労務の専門弁護士に相談することをお勧めします。

 

相談が特に多い業種(産業別)

建設業  ☑製造業  ☑情報通信業  ☑運輸・郵便業(トラック運送業)
□卸売・小売業  □金融業・保険業  □不動産・物品賃貸業  
☑宿泊・飲食業(ホテル・飲食店等)  ☑教育・学習支援(塾・予備校等)
☑医療・介護福祉業  ☑サービス業

※残業・休日・休暇等に関しては、様々な業種で多くの相談があります。

 

1 労働時間・休日・休暇は、労務管理の中でも極めて重要!

労働時間・休日・休暇の問題は、従業員の健康にも直結する重要な問題です。

労働基準監督署の過重労働撲滅特別対策班(いわゆる「カトク」)の活動もあって、近年、大手企業への立ち入り調査・書類送検等がニュースで取り上げられることが多くなりました。

もし会社が間違った労務管理を行ってこのような報道がされれば、会社の評判や信用が大きく失墜することにもなりかねません。

長時間労働の問題は社会全体の関心も高くなっており、従業員の方も相応の知識を身につけています。

会社としては、労働時間・休日・休暇等について正確な知識の下に適切な対応を行うことが必要です。

 

2 労働時間・休日の適切な管理が必要

⑴ 会社には労働時間把握義務がある

会社は、労働者の労働時間を把握する義務があります。

「労働時間の適正な把握のために、使用者が講ずべき措置に関する基準について」という通達が、その義務を次のように定めています(平成13年4月6日基発)。

現在、会社に向けられた労働時間の把握義務の遵守の目は非常に厳しいです。

この義務を怠った場合の不利益は会社に向けられると考えていただき、しっかりとした体制を整えることが必要です。

① 始業・終業時刻の確認及び記録

会社は、労働者の労働日ごとの始業・就業時間を確認し、これを記録する必要があります。

② 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法

①の始業・終業時刻の確認・記録の方法は、原則として以下の方法による必要があります。

ア 使用者が自ら現認する
会社側で、労働者の始業時間と就業時間を一人一人全て確認する方法です。
確かにこれが確実ですが、全員の労働者についてこれを行うことは現実的ではありません。

イ タイムカード、ICカード等の客観的な記録で確認すること
そこで、多くの会社で採用されているのがタイムカード等の記録です。

③ 自己申告制による方法

自己申告制は、②の方法をとることができない場合に行われる方法です。

自己申告制を採用する場合は、次の点に注意が必要です。

たとえば、会社が自己申告の内容を指示して、サービス残業を強いることがあれば、違法となります。

未払残業代の請求を受ける可能性も高くなりますので注意が必要です。

ア 十分な説明
自己申告制の導入前に、労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行う必要があります。適正な申告を理由として不利益処分を行うことは許されません。

イ 必要に応じた実態調査
自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を行う必要があります。

ウ 労働時間の適正申告を阻害しないこと
労働時間の適正な申告を阻害する目的で、時間外労働時間数の上限設定をしてはいけません。

※平成29年1月20日策定のガイドラインでは、自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間についての理由等を報告させる場合は、報告が適正に行われているかを確認する必要があることが明示されています。

④ 労働時間の記録に関する書類の保存
労働基準法109条は、労働時間の記録に関する書類を3年間保存することを義務づけています。

⑤ 労働時間を管理する者の職務
事業場で労務管理を行う部署の責任者は、事業場での労働時間の適正な把握など、労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図る必要があります。

⑥ 労働時間短縮推進委員会等の活用
事業場の労働時間の管理状況を踏まえて、必要に応じて労働時間短縮推進委員会等を設置して、労働時間についての検討を行うことが必要です。

 

3 労働時間の管理については、弁護士への相談をおすすめします。

このように、労働時間の管理は通達で詳細に決められています。

特に残業代について誤った運用を行っていた場合、突然従業員から労働審判や民事訴訟を起こされることがあります。

会社として多大なコスト・リスクがかかる可能性があります。

労使トラブルを事前に防ぐには

こうしたリスクを避け、適正な労働時間の管理を行うためには、労働実務を踏まえた判断・手続が不可欠ですので、法的な労務管理の専門家の労働弁護士に相談するのが一番です。

もし、会社として適切な労働時間の管理の方法を検討しているのであれば、労働弁護士のフォローを随時受けながら、適切な方法で行っていくことが不可欠です。お気軽にご相談ください。

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