【コラム】働き方改革(テレワーク)について | 弁護士による企業のための労務問題相談

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【コラム】働き方改革(テレワーク)について

労働弁護士の戸田です。

11月に千葉県社会保険労務士会千葉支部での研修講師を担当します関係で、「働き方改革」について改めて勉強中です。

 

今回は在宅勤務、テレワークについて。

待機児童が減らないこの時代、テレワークは魅力的。

うちの事務所でも導入しようかな・・・なんて。

 

とはいえ、この制度の導入は簡単じゃないですよね。

よく言われるとおり、

①労働時間をどうやって把握すんのか

②企業秘密の漏洩をどうやって防ぐのか

③長時間労働を防ぐ方策は?

などなど、検討課題は多い。導入企業もまだまだ一部の大企業ばっかりですよね。

 

まず、①の労働時間の把握・労働時間管理の問題です。

事業外みなし労働の制度もありとは言われますが、事業外みなしの適用の要件は結構厳しい。

「労働時間の把握が困難」である必要をきっちり満たすことができるかどうかが鍵です。

しかし、今の時代、パソコンや携帯電話で労働時間管理ができますので、この要件の適用が争われるケースも出て来そうで、在宅勤務制度の導入のために事業外みなし制度を使うのは、ちょっとリスクがある気もします。

メール・クラウドや報告書を使った都度報告、これで地道に労働時間管理するのが無難ですし、基本ですかね。

 

中抜けしてないか、サボっているかどうかについては、提出された成果物で見るってことになるか。

具体的な指示とその履行をちゃんと見ないとダメですね。

定期的な出勤を義務付けることも必要ですが、結局労働者への信頼が大前提ですね。

 

②の企業秘密の漏洩リスクの観点はどうでしょう。

実戦している企業も大体そうですが、当然重要な書類の持ち帰りはダメ。

さらに言えば、クラウド上でのアクセス等はどこまで認めるか。線引きが難しい。

・・・とするとうちの法律事務所では何をやってもらおう?依頼者関係に関わる資料作成なんかは全てダメになるとすれば、在宅勤務でやってもらう仕事を特定するのも難しいところ。

 

なにより、問題は③の長時間労働の問題です。

元々、「望まない在宅勤務」ってのは結構ざらにあった問題です。

勤務時間内には仕事が終わらず、資料を持ち帰ってやらざるをえない。

それが過酷な長時間労働を生み、時には過労死の被害をも生んでしまう。

持ち帰り残業が労働時間になるかどうか、激しく争われる事案は枚挙に暇がありません。

現在も非常に多い労務トラブルの一つです。

 

通常、会社から持ち帰り残業の指示が全くない事案ではこれが労働時間と評価されるのは限定的です。

しかし、在宅勤務を制度として取り入れた場合はどうか。

仕事が多すぎて時間外やらないと終わらない、というケースの場合は、従来の「望まない在宅勤務」とは違って労働時間と評価される場面は多くなると思います。

「自宅だから自由に仕事できるでしょ」的な感覚で導入するのは極めて危険です。①とは逆で、労働者に甘えてはいけない。

 

結局、この制度を導入する前提としては、社内での適正な労務管理がしっかりできているのは大前提。

労働者への信頼ももちろんですが、労働者に甘えない厳格な管理と制度設計が必要ですね。

 

 

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