【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第2回:運送会社での同一労働同一賃金の考え方=ハマキョウレックス事件) | 弁護士による企業のための労務問題相談

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【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第2回:運送会社での同一労働同一賃金の考え方=ハマキョウレックス事件)

弁護士法人戸田労務経営です。

代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。

運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。

輸送経済新聞7月13日号掲載の第2回は運送会社での同一労働同一賃金の考え方について取り上げました。

記事内容をご紹介します。

※紙面はこちら※

物流の労務・法律トラブル第2回 「同一労働同一賃金とは何か②」~運送会社の事例=ハマキョウレックス事件

前回は、日本での同一労働同一賃金が、正社員と非正規社員の格差是正の問題だと紹介した。今回は、日本型の同一労働同一賃金の具体的な中身について取り上げる。

運送会社の事例としては、ハマキョウレックス事件(最高裁2018年6月1日第三小法廷判決)が有名。全国規模の運送会社で、契約期間が決まっている非正規のドライバーと、契約期間の定めがない正社員のドライバーとの待遇格差が争われた事案だ。

非正規ドライバーには、正社員ドライバーに支給されていた無事故手当、作業手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、皆勤手当などが一切支給されていなかった。この待遇格差が同一労働同一賃金の原則(当時の労働契約法20条)に違反するとして争われた。

考慮すべきポイントは3つ

同一労働同一賃金を考える際に考慮すべきポイントがある。①職務の内容②人材活用の仕組み③その他の事情――の3つだ。

①の職務の内容というのは文字通り、仕事の内容や、責任の重さなどのこと。②の人材活用の仕組みとは、会社全体の人事の在り方として、職務内容や配置などの変更があり得るかという観点だ。

会社によっては、正社員に対して、将来的な管理職・幹部候補を念頭に置いた出世コースを置くことがある。

例えば、若いうちはドライバーとして現場の経験を積ませつつ、ある程度の期間を経て転勤でさまざまな現場を経験させる。経験を積んだら運行管理者としてドライバーの管理を行い、営業所長を経験させるといったことだ。

職務内容に合わせた支給を

では、ハマキョウレックス事件ではどうだったのか。①の職務の内容については、正規も非正規も運送会社のドライバーとして差が全くなかった。

だが、②の人材活用の仕組みの点では違った。全国規模の会社のハマキョウレックスでは、全国転勤がある正社員を想定した職務等級制度が作られていた一方で、非正規ドライバーにはそうした制度がなかった。一つの営業所でずっと働くという立場だった。

同社としては、このように人材活用の仕組みに大きな差がある以上、各種手当の支給に差があってしかるべきだと主張したが、主張の大半が認められなかった。住宅手当以外を非正規ドライバーに支払わないことが全て違法とされた。

理由として、判決では各手当の内容を丁寧に分析していた。

無事故手当を例にとると、「優良ドライバーの育成や安全な輸送による顧客の信頼の獲得」を目的として支給される。

それならば、同じ輸送の仕事を担うドライバー全員に支給することが理にかなっている。単に雇用期間が決まっているかどうかという点で支給の有無を分けるのは不当だとされてしまった。

他も同様の理屈だ。各手当の趣旨や目的を考え、正規か非正規かで区別することにもっともな理由がなければ、ことごとく違法とされている。

例えば作業手当。これは特定の作業を行った対価として支給される。同じ作業を行っているのであれば、正規も非正規も違いがない。

まとめ

このように、判決では非常に厳しい判断をしている。

そもそも運送会社のドライバーは、職務内容に差をつけにくいため、正規と非正規で手当などに差をつけるのはかなり難しいこととなる。

賃金制度を改めて見直すことも必要である。

 

 

 

 

 

 

 

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