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新型コロナワクチン接種に関する会社・企業の対応Q&A~No2
弁護法人戸田労務経営です。
最近新型コロナウイルスのワクチン接種でよくあるご質問について、弊所所属の産業医兼務の竹口弁護士の知見も踏まえてまとめた後編になります。
※ワークウェア社労士法人様との共同監修です。
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Q4:労働者が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合、労災保険給付の対象となりますか? |
A4:労働者の自由意思による接種である以上、業務とは無関係と評価されますので、通常は労災扱いにはなりません。
ただし、医療事務従事者や高齢者施設等従事者は労災保険給付の対象となります(厚労省QAより)。
Q5:職場におけるワクチン接種状況を把握するために接種情報を取得したいですが、どうしたら良いでしょうか? |
A5:ワクチン接種歴は健康情報として要配慮個人情報にあたるため、会社としては、本人の同意を得て情報を取得する必要があります。
また、取得した情報の利用目的についても特定のうえで公表または通知をする必要があります。
具体的な取得方法としては、接種時間の労働時間みなしや特別休暇の付与、勤務シフトの配慮等の労務管理に用いるために必要であるといった説明をしつつ、接種日を報告させるのが現実的と思います。
ただし、情報取得には本人の同意が必須であることから、本人が頑なに情報提供を拒否した場合には情報を得ることは困難です。
Q6:会社は、労働者がワクチン接種をした後にどのような配慮をするべきでしょうか。接種後の安全配慮義務はどこまであるのでしょうか? |
A6:少なくとも翌日は欠勤や早退できるように配慮が必要と思います。
また、あらかじめ、本人に対しても、業務調整をしておくように十分に周知して自己管理させておくべきです。
接種後翌日・翌々日くらいまで発熱や倦怠感が強く出るリスクがあります。
働けない程度の症状の場合、通常の病欠扱いで構わないですが、体調不良でも無理に出勤をさせたとなると、何かアクシデントが生じた場合、安全配慮義務違反や第三者への損害賠償の問題につながる可能性はないとも言えません。
Q7:逆に複数の労働者の接種希望日が重なる場合にQ6の配慮をして休ませた場合、シフトが組めない等、会社の業務に支障が出ることが予想されます。会社から、接種日の変更を求めることはできるのでしょうか。 |
A7:会社側に具体的な支障がある場合には、ワクチン接種による欠勤を認めないという対応はあり得ます。
ワクチン接種は、あくまでも労働者個人の自由です。労働者が特定の日にワクチン接種を受ける権利はなく、労働日に休む権利はないからです。
ただし、元々の休日に接種予約を入れている場合、変更を求めるのは難しいでしょう。これは労働者の休日を自由に利用しているだけです。
また、労働者がワクチン接種の予約日について事前に年次有給休暇の取得申請をしている場合についても、有休の自由取得が原則となるため、変更を求めるのは難しいです。どうしてもその接種で業務上の支障が大きい場合にのみ、時季変更が認められることになります。
いずれにしても、複数人のワクチン接種で業務に影響があると予想される企業(配車が必要で、かつ副反応配慮が必要な運送会社等)については、可能な限り早めに協議をしておくことが重要です。
Q8:接種後のマスクをせずに出社したり、接種していない社員への嫌悪感を示す等に対する職場秩序維持はどうしたら良いでしょうか? |
A8: ワクチン接種によって新型コロナウイルス感染を完全に防ぐことができるものではありませんので、ワクチン接種後も引き続き感染予防対策を継続することが重要です。
社会的な感染状況が落ち着くまでは、マスクの着用・手洗いの徹底・食事中の会話禁止など一般的に必要とされている感染予防対策を従業員に命令することは、職場秩序維持や安全配慮義務の観点から可能と考えられます。
また、新型コロナウイルスに対するワクチンを接種するかどうかは、個人の意思を尊重するべきものです。副反応等のリスクを考慮して接種しないと判断することも決して非難されるべきものではありません。当然、接種しない従業員に対して差別的な取り扱いをすることは許されませんし、会社としても従業員間でも差別が発生しないよう教育・啓蒙をするべきです。
なお、ワクチン接種歴は、前述の通り要配慮個人情報にあたりますので、会社が本人の同意なく他の従業員に当人の接種歴を伝えることは原則禁止されています。この点の情報の取り扱いには十分留意が必要です。
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弁護士法人戸田労務経営は産業医兼務の竹口弁護士が所属し、新型コロナウイルス感染症対応も含めた労務管理を行っております。→お問合せはこちらから
新型コロナワクチン接種に関する会社・企業の対応Q&A~No1
弁護法人戸田労務経営です。
最近新型コロナウイルスのワクチン接種でよくあるご質問について、弊所所属の産業医兼務の竹口弁護士の知見も踏まえてまとめました。
※ワークウェア社労士法人様との共同監修です。
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Q1:ワクチン接種の法的性格とは? |
A1:予防接種法第8条及び第9条より「市町村長及び都道府県知事が・・・臨時の予防接種を受けることを勧奨し、・・・対象者は受けるように努めなければならない」という行政の勧奨の上での国民の努力義務を有します。
最終的には労働者本人の自由意思に委ねられているとの見解を示しています(令和3年4月1日新型コロナウイルス感染症対策本部「基本的対処方針」、内閣衆議院質問204第35号令和3年2月19日等)。ここが以下判断の基本です。
Q2:ワクチン接種を受けるように従業員に強制することはできますか?ワクチン接種を勧めることもできないのでしょうか? |
A2:ワクチン接種を強制することはできません。
上記のとおり、予防接種法8条で接種が勧められているとはいえ、使用者からの強制をすることはできません。
ワクチン接種は注射器によって身体の侵襲をするものですから、その意思決定は労働者個人に委ねないといけません。
これは、A1のとおり、最終的には労働者本人の自由意思に委ねる必要があるということが理由です。
たとえば「ワクチンを打たない」という人に対して懲戒処分等をすることはできません。ワクチンを打たない人を解雇したり、不当に人事異動をしたりすることは望ましくありません(ワクチン接種政府見解)。
なお、会社からワクチン接種を進めること(接種勧奨)は基本的に問題ありません。ただし、基礎疾患(心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患等)、過去のけいれん症状がある場合等、一定の場合は「予防接種要注意者」とされる場合もあります。こうした基礎疾患等があって、ワクチン接種を明確に拒否する労働者に対しては、過度の接種勧奨をするべきではないでしょう。
Q3:ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱いはどうなりますか? |
A3:A1のとおり、基本的には接種は本人の自由意思となりますので、会社で任意に判断することで問題はございません。
もっとも、厚生労働省は本件に関して「職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。」としています。
この点を加味すると、社会的な感染防止対策の一環として民間企業が協力するとした場合に、以下の対応をベースに考えていただくのがよろしいかと思います。
- 接種時間:基本労働時間としてみなす。ただし、半日以上就業できない場合は年次有給休暇(以下「有給」)取得を促す。
- 接種後:副反応(特に2回目)により体調不良の場合は有給取得による休暇を原則とする。
- 特別休暇:有給の未保有者及び不足者に対しては特別休暇を付与する(ワクチン休暇等)
- 接種帯同:家族の接種に帯同する場合は、上記に準ずる。
- その他:上記は最低ラインと考えますので、上記有給を特別休暇として付与する事は労働者有利の労働条件付与なので当然有効です。
多くあるのは、有給を取得させる対応ですね。特別休暇まで対応することは会社の義務ではありません。
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2021年4月高年法改正:70歳までの定年延長・定年後再雇用の対応は必要か?
弁護士法人戸田労務経営(西船橋法律事務所)の代表の戸田でございます。
2021年4月に高年齢者雇用安定法が改正され、さらに高齢者の雇用拡大となりました。
2021年4月改正高年齢者雇用安定法の内容
(1)65歳までの雇用継続措置を採るべき義務
これは、2021年改正よりも前から対応しなければならない点です。
高年齢者雇用安定法で65歳までの雇用継続は法的義務となっています。
① 65歳までの定年延長 ② 定年は60歳のままで65歳まで定年後再雇用(継続雇用)にする |
中小企業の現状は②の定年後再雇用の制度を取っている企業が大半の印象です。
一旦60歳で定年退職としつつ、その後は1年ごとの雇用契約を結ぶというやり方です。
嘱託契約という名目にすることも多いですね。
注意すべきは、ここにいう「定年後再雇用」としての1年契約の更新です。
基本的には高年齢者雇用安定法は、事業主に継続雇用義務を課していますので、65歳までの途中で契約を切る、ということはできません。
解雇に類するような事情が必要ということです。
(2)2021年改正による70歳までの雇用継続措置の努力義務
さて、今回の改正で求められたのは、70歳まで雇用を継続するための措置です。
① 70歳までの定年延長 ② 定年制の廃止 ③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度) ④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入・・・雇用ではなく外部委託もあり ⑤ 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入・・・さらには社会貢献事業という形もあり |
④⑤は、雇用そのものではない継続のパターンですが、この導入は計画書の提出・労使協議等が必須です。
簡単には導入できないと思われます。
多くの企業ではやはり①か③を導入することが現実的です。
企業が取るべき対応
2021年4月改正の70歳までの雇用継続のための措置は、いずれも努力義務とされています。
70歳定年や継続雇用制度を取り入れないとしても、直ちに指導されたり、何か法的な責任を問われるということはありません。
今のところは、従前の65歳までの雇用継続の措置をしっかりと制度化して運用することが必要です。
企業によっては、60歳定年を過ぎてもなんとなく雇用を継続させているケースが散見されますが、これはダメです。
定年後再雇用の制度を取るなら、雇用継続の際に年間の雇用契約を締結することが絶対必要です。
定年後再雇用の雇用契約、そして定年後再雇用の規程の整備をしていく必要があります。
その際は、同一労働同一賃金への配慮も忘れずに。
近い将来、70歳定年や雇用継続について、努力義務が法的義務になることもあり得ます。
業種によっては、60歳を超えた人材を確保するニーズも高まっていますので、前向きに対応していくことが求められます。
高年齢者雇用安定法セミナーのご案内
2021年7月15日にセミナーを実施します。
詳細はこちら⇒2021年7月15日に「定年後の雇用体系徹底解説セミナー」(無料ウェビナー)
【開催概要】
■日時 7月15日(木)14:00~15:30 ■形式 Zoomウェビナー ■定員 100名(予定) ■参加費 無料 ■講師 弁護士法人戸田労務経営 代表弁護士 戸田 哲 ■申込方法 ご参加をご希望の方は以下のフォームにアクセスいただき、必要事項をご記入下さい。 |
旅館・ホテルは新型コロナウイルス感染の疑いがある宿泊客の宿泊を拒否できるか?
弁護士法人戸田労務経営です。
2月16日、千葉県中小企業団体中央会主催で、千葉県内の旅館・ホテル業の企業向けの研修を担当しました。
「新型コロナ禍を乗り切る!企業の労務・法務対応」というタイトルです。
旅館・ホテル業界は今非常に厳しい状況にありますが、何とかこの危機を乗り切っていただきたいと思っています。
さて、その中で話題になったのは、やはり感染者・感染疑いの方への対応でした。
1 新型コロナウイルス感染の可能性・症状があるだけで宿泊を拒否できるか
【質問】
新型コロナウイルス感染予防のため、「37.5度以上の発熱の方や風邪症状のある方」等の宿泊をお断りしたいと思っているのですが、問題はないのでしょうか。 |
【回答】
単に、体調不良(軽い発熱、咳症状等がある)というだけでは宿泊をお断りするのは難しいというのが結論です。
ただ、新型コロナウイルス感染がPCR検査で陽性となっている場合、又はかなりの高熱が続いている方の場合は、感染症疑いによって拒否できる可能性があります。
【解説】
宿泊客の宿泊拒否という対応は、下記旅館業法との兼ね合いで問題が生じます。
○旅館業法(昭和23年法律第138号) 第五条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。 |
上記でいえば、「伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」という判断は非常に難しく、PCR検査で陽性結果が出ているにも関わらず宿泊しようとしたケースでない限り難しいと思われます。
もっとも、38度以上等の相当の高熱が出て数日間も経過しているような方の場合は、新型コロナの他、インフルエンザの感染疑いもありますので、上記5条①に該当して拒否できる余地はあります。
発熱がある等という状態のみでは、単なる風邪の可能性もありますし、上記5条①の拒否要件には該当しないかと思われます。
2 感染防止措置に協力してくれない宿泊客について
【質問】
宿泊客の方には、マスク着用、消毒、検温を徹底しています。 ほとんどのお客様はご協力していただけるのですが、時に理由もなく拒否される方もいます。こういった方に宿泊をご遠慮いただくことはできるのでしょうか。 |
【結論】
単に拒否した、というだけでは旅館業法5条違反になる可能性が高く、拒否はできません。
ただ、何の理由もなく、マスクも消毒も協力しない、暴言を吐いて旅館側のお願いを全く無視する等の事情を総合的に見た場合に、周囲の宿泊客への風紀を考慮して宿泊拒否することもあり得るかと思います。
【解説】
確かに、昨今の新型コロナウイルス感染症予防の必要は高く、マスク着用、消毒、検温その他の感染予防措置は宿泊客の皆様にも必要なことです。
ただ、こうした点はあくまでも任意に協力を求めるにとどまりますので、強制的な命令は難しいでしょう。
そのため、単純に拒否しただけでは宿泊拒否は難しいと思われます。
ただ、問題は感染防止措置を正当な理由なく拒否し続けるケースです。周囲の宿泊客への迷惑を省みずに宿泊し、周囲への迷惑を及ぼす場合は問題です。
こうした場合は、上記旅館業法5条②「風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。」に該当するかどうかです。
難しい判断ではありますが、たとえば風邪症状がありつつ何の理由もなく、マスクも消毒も協力しない、暴言を吐くなどなどの事情がある場合はどうでしょうか。
こうした問題行動を総合的に見た場合に、周囲の宿泊客への風紀を考慮して宿泊拒否することもあり得るかと思います。
続・新型コロナウイルス関連の企業の資金繰り(助成金・給付金)
弁護士法人戸田労務経営です。
先日新型コロナウイルス感染症の影響に対する各種の公的支援策についてご紹介しましたが、今回は、その後追加・変更された支援策のうち、特に給付金・補助金に着目してご紹介したいと思います。
この国家的試練を乗り越えるため、利用できる制度は上手に利用しつつ感染拡大を少しでも抑えていきましょう。
(4月14日時点の情報となりますのでご注意ください)
雇用調整助成金の特例措置(変更)の活用
まずは雇用調整助成金です。
従前よりある助成金ですが、売上減少がある際に、従業員の雇用を維持することを前提として受給できる助成金です。
雇用調整助成金の申請手続が大幅に簡素化されました。
助成金支給までの期間も従来2ヶ月ほどかかっていたところを1ヶ月ほどに短縮させる見込みです。支給要件も従前のものより大きく緩和されていますので、休業する場合には積極的に活用を検討したい助成金です。
特に、最近は労働弁護団やユニオンから、整理解雇を検討する際にはこの雇用調整助成金の受給を検討すべきとの主張がされることも多いです。安易に人員削減をする前に受給できないかどうかを検討することは必須かと思います。
ただ、受給のためには事業所自体が労働基準法などを完全に遵守していることが前提にされているということもあり、労務管理が不十分な中小企業においては申請自体が難航するケースもあるという話も聞いています。
対象事業者:直近1ヶ月の売上等が前年同月比5%以上減少した事業主 手続要件:休業に関する労使協定を締結する等(詳しくは厚生労働省HP) 助成率:中小企業4/5、大企業2/3(解雇を伴わない場合:中小9/10、大3/4) 厚生労働省:雇用調整助成金 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html 雇用調整助成金の申請書類を簡素化します https://www.mhlw.go.jp/content/000620880.pdf 「雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)令和2年4月13日現在」 |
持続化給付金(新設)
新型コロナウイルス感染症拡大により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えして再起の糧とするために給付されるものです。
詳細は4月最終週を目途に確定・公表される予定です。
対象事業者:前年同月比50%以上の売上減少 給付額:昨年度の売上からの減少分(法人上限200万円、個人事業主上限100万円) 経済産業省:持続化給付金に関するよくあるお問合せ |
生産性革命推進事業(変更)
令和二年度補正予算により、IT導入補助金、ものづくり・商業・サービス補助金、小規模事業者持続化補助金の補助率・補助上限が引き上げされる予定になっています。
中小企業基盤整備機構 |
生活支援臨時給付金(仮称・新設)
企業向けではなく個人向けの給付金になります。新型コロナウイルス感染症の影響で休業等により収入が減少した世帯の生活維持のための臨時支援を目的とした給付金です。世帯主の月間収入が住民税非課税水準となる世帯が対象です。
給付額:1世帯あたり30万円 総務省:生活支援臨時給付金(仮称) https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html |
【お知らせ】新型コロナウイルスに対する事務所対応について
弁護士法人戸田労務経営です。
新型コロナウイルスの影響と、本日発令予定の緊急事態宣言を見越して、当事務所では以下のとおりの対応とさせていただきます。
① 面談のご相談・打合せを原則差し控えさせていただきます。
外出自粛要請を受けまして、当事務所でも原則として面談相談は当面差し控えさせていただきます。
依頼者様、顧問先企業様については、電話・メール・chatwork・ビデオ会議等を活用させていただきます。
新規相談についても基本的に受付を控えさせていただいておりますが、緊急にご相談をご希望される企業側のご相談に限りまして、電話・ビデオ会議相談を実施できる場合があります。お問合せ下さい。
② 事務職員は基本的に在宅勤務となり、電話対応にお時間を要することがあります。
当事務所の事務職員については原則在宅勤務を実施しています。
原則折り返し対応になり、折り返しにお時間を要することがありますので、何卒ご了承下さい。
③ 緊急に相談・打合せを実施する場合は、マスク着用・手指の消毒にご協力をお願いします。
依頼者様・顧問先企業におかれまして、緊急にお打合せを実施する場合は、恐縮でございますが、マスクの着用と面談前の手指の消毒をお願いしております。
弁護士においてもマスクを着用しますので、ご了承下さいませ。
緊急事態宣言に伴う企業の労務対応(休業手当を払うべきか?)
緊急事態宣言に関する企業からの相談(休業手当について)
当社は都内と千葉県内で多数の学習塾を経営する企業なのですが、緊急事態宣言が発令されると学習塾も休止要請の対象になってしまいます。
さすがにこれを無視するわけにはいかないため、全教室休校としました。一部の事務職員を除いて在宅勤務も困難でして、基本的には休業するしかありません。
ただ、この宣言がいつまで続くのかもわかりません。当社の売上も激減してしまうところですが、従業員への休業手当・休業補償はどうすればよいのでしょうか。
巷では休業手当として60%を払わないといけないという話も聞きますが、うちの状態ではそれも厳しいかもしれません。法的な見解を教えてください。
新型コロナウイルス関連の企業の資金繰り(融資・助成金)
弁護士法人戸田労務経営の代表弁護士の戸田です。
新型コロナウイルスの影響が広がり、緊急事態宣言の発令も現実味を帯びてきています。
企この危機的状況を乗り越えるための経済面での支援策(融資、保証、助成金等)が公的機関から複数だされていますが、どこからどのような制度が打ち出されているのか、全体像が見えづらくなっています。今回はこれらの支援策について網羅的にまとめてみたいと思います。
※情報は令和2年4月2日現在のものですので、ご了承下さい。
融資関係
まずは融資関係です。返済義務はありますが、当面の資金繰りのための現金を確保するための制度として活用できます。
・新型コロナウイルス感染症特別貸付
売上高の減少などの一定の要件を満たした中小企業等が無担保・低減金利で融資を受けられる制度です。当初3年間の金利が基準金利より0.9%低減されます。融資限度額は国民生活事業6000万円、中小企業3億円。
特に影響が大きい事業者には、当初3年間の金利が実質無利子となる「特別利子補給制度」も新設されています(具体的な手続きについては漸次決定)。
日本政策金融公庫:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_t.html
・商工組合中央金庫による危機対応融資
商工中金でも日本政策金融公庫の特別貸付と類似した融資制度を設けています。
商工組合中央金庫:https://www.shokochukin.co.jp/disaster/corona.html
・経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)
外的要因により一時的な業状悪化をきたした中小企業等に対する融資制度です。従来設定されていた「売上高が5%以上減少」等の数値要件が緩和され、広く中小企業等が融資対象になりました。融資限度額は国民事業4800万円、中小事業7.2億円。金利は貸付期間や担保の有無等にて変動します。
日本政策金融公庫:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html
・小規模事業者経営改善資金(通称「マル経融資」)
商工会などの経営指導を受けている小規模事業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる制度です。融資限度額は2000万円。
日本政策金融公庫:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html
・生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付等
生活衛生関係事業者*についてはさらに別枠での融資制度があります(生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付、衛生環境激変対策特別貸付、生活衛生改善貸付など)。
*飲食業などのうち事業規模の小さいもの(参照:https://www.jfc.go.jp/n/faq/pdf/yusi_m.pdf)
日本政策金融公庫:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_seiei_m.html
信用保証
・経営安定関連保証(セーフティネット保証)、危機関連保証
売上高の減少等一定の要件を満たした中小企業等が、市区町村長の認定を経ることで、融資を受ける際に信用保証協会による信用保証を受けることができる制度です。保証限度額は、普通保証2億円、無担保保証8000万円。
全国信用保証協会連合会:https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/keiei-shisho.html
補助金、助成金
・生産性革命推進事業
ITツール導入によって業務改善・効率化を目指す中小企業が対象です。公募により採否決定がされますが、その際テレワークの導入に取り組む事業者は優先的に加点されます。補助率は1/2(上限150万)。1次公募は令和2年3月末ですでに終了していますが、令和2年6月、9月、12月に公募が行われる予定のようです。
中小企業基盤整備機構:https://seisansei.smrj.go.jp/
IT導入支援事業事務局:https://www.it-hojo.jp/2020emergency/
中小企業の新製品・新サービス開発や生産プロセス改善のための設備投資を補助する制度です。感染症の影響で新たに導入した設備投資等も対象になります。補助率は会社規模により1/2~2/3で上限1000蔓延です。第2次公募が4月20日から申請開始になっています。締め切りは5月20日です。
ものづくり補助金事務局:http://portal.monodukuri-hojo.jp/
小規模事業者の販路開拓等のための取り組みを支援する制度です。補助率は2/3(上限50万円)。感染症の影響により売り上げ減少等があることが採否決定の際に加点要素となります。第2次公募締め切りが6月5日となっています。
全国商工会連合会:http://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/
・働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
新型コロナウイルス感染症対策のためにテレワーク導入に向けた一定の取り組みをし、かつ、実際にテレワークを実施した労働者が1人以上いる中小企業が支給対象です。助成率は1/2(上限100万円)。交付請求期限は令和2年5月29日です。
・雇用調整助成金
経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が雇用の維持を図るための休業手当を要した費用を助成する制度です。新型コロナウイルス感染拡大に伴って特例措置により助成対象や助成額の拡充が行われています。助成率(令和2年4月1日時点)は中小企業4/5、大企業2/3(解雇等を行わない場合は中小企業9/10、大企業3/4)です。特例措置は6月30日まで継続される予定になっています。
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
・新型コロナ休暇支援助成金
令和2年2月27日から3月31日までの間に新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等した子供の世話をするために保護者に有給休暇を取得させた事業主に対する助成金制度です。助成額は有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額(上限8330円)。申請期間は6月30日までとなっています(法人ごとにまとめて申請)。
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html
猶予制度
・厚生年金保険料、国税・地方税納付猶予
災害を受けた場合や著しい損失が出た場合に、社会保険料や税金の納付猶予が認められることがあります。
日本年金機構:https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202003/20200304.html
国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm
<参考>
経済産業省の新型ウイルス感染症関連ページが経済支援面での施策がコンパクトにまとめられていて参考になります。漸次更新されていますので最新の情報を確認する場合にはまずはこちらをご参照ください。
https://www.meti.go.jp/covid-19/
テレワーク(在宅勤務)で行うべき規則制定と労務管理
弁護士法人戸田労務経営の所長弁護士の戸田です。
新型コロナウイルスの影響が大きく、時差出勤やテレワークの活用が叫ばれていますね。
いずれも東京オリンピックに向けての導入が推奨されていた制度ですが、このような形で前倒しになるとは予想外でした。
今回、テレワークの導入についてのご相談が多いため、導入に際して気を付けるべき基本的な労務管理をまとめてみました。
中小企業であっても、IT 企業を始めとして導入が検討できる企業もありますので、参考になれば幸いです。
1 テレワーク実施のために必要な規定
テレワークを実施するためには、最低限以下の規定が必要と言われていますので、まずは就業規則の整備を検討してください。
もちろん、今回の新型コロナウイルス蔓延の際に、各従業員の事実上の同意を取って導入することはあり得るかと思います。
ただ、その場合であっても、可能な限りのルール作りをして、従業員の方との協議をしておくのが重要かと思います。
① 在宅勤務を命じることができる定め
従業員に対してテレワークするよう、在宅勤務命令を行うための根拠規定です。
テレワーク(在宅勤務)について、中には抵抗がある従業員の方もいらっしゃる可能性がありますので、一律にテレワークを実施するにはこうした根拠規定を作ることが望ましいです。
② テレワーク(在宅勤務)用の労働時間を設ける場合、その労働時間に関しての定め
在社勤務での就業時間と全く同じであれば必要ありませんが、在宅勤務特有の労働時間を設定するのであれば、労働時間・休憩時間を定める必要があります。
テレワーク(在宅勤務)は、労働時間が曖昧になると管理ができませんので、始業時間・終業時間は何時かを明記して定めるべきでしょう。
特に、通常変形労働時間制やシフト制を採用している企業については、別途始業・終業時間を決めた方がよいですね。
③ 通信費の負担に関しての定め
費用負担は決めておく必要があります。
テレワーク(在宅勤務)の場合、パソコンやスマホは会社から貸与することが多いですが、この場合の費用負担は全額会社とするのが通常です。
その他のブロードバンド回線の基本料や通信費等の負担は、個人使用との線引きが難しいので全額会社負担とする必要はありません。
いずれにしても、こうした費用負担を従業員にさせる場合は就業規則への定めは必須です。
④ 社内教育・研修についての定め
テレワークを実施する前段階では、業務の仕方や報告方法等を含めた研修を実施するのが望ましいと言われます。
社内教育や研修実施について定めておくのがよいでしょう。
⑤ 業績評価、人事管理について(要検討)
出社する従業員とは異なる業績評価・人事評価をするのであれば、あらかじめその基準を決めておくことが無難です。
2 規定方法
就業規則の中に条項を入れる方法でも、就業規則とは別建てのテレワーク勤務規程(在宅勤務規程/サテライトオフィス勤務規程等)を新設する方法でもよいです。
3 テレワークでの労働時間管理
導入に当たって問題となるのは労働時間管理です。「テレワークを導入したいけど、家で勝手な勤務をされても困る・・・」等という声が多いところです。
この労働時間管理がルーズですと、結局仕事をしないでダラダラ一日過ごして終わり、という事態にもなりかねません。
テレワークは性善説を前提にしている、という意見も耳にしますが、まずは企業としてできる限りの労働時間管理を行うことが大前提です。
① 始業・終業時間の管理
まず、報告方法と記録方法についてのルール化はかなり重要です。
これについては導入のしやすさだけでなく、管理・運用のしやすいものを検討しなければなりません。
・電子メール
企業で最もよく使われているのは電子メールと言われています。全員が使い慣れたツールという意味では導入は早そうですね。
・電話
シンプルに電話でもよいですが、記録の手間がかかることと在宅勤務者が多い場合には使いにくいのがデメリットです。
・チャット等(LINE、チャットワーク、スラック等)
いわゆるグループチャットも有効かと思います。在宅勤務用のグループを作っておいて、そのグループに投稿する方法です。
最近はLINEを企業内の連絡に使っている企業も増えていますし、多くの従業員が利用していることからすれば、導入しやすいツールですね。
ただ、ビジネス向けのチャットツールとしては、チャットワーク(Chatwork)やスラック(Slack)も便利です。
・スケジュール・勤怠管理ツールの利用
各自が直接入力する形を取ることができるので、大人数でも管理しやすく、入力内容をわざわざ管理としては最も簡便です。
様々な勤怠管理システムがあります。
費用が許せばテレワークに対応したシステム導入は是非検討したいですね。
② 業務時間中の在席・離席確認
自宅で育児を行っている従業員等、業務の中断があり得ます。休憩時間の運用も必要です。
業務中断についての運用ルールを定めておくことが必要です。
たとえば、労務管理ツールで休憩記録をする、その他離席時点、戻ってきた各時点でメール・チャットで連絡する方法等です。
③ 業務内容の管理
いわゆる日報等の作成をさせることですね。
ダラダラ勤務を防止するためには、労働時間の管理にも関連するところかと思いますが、業務については時間割のような形で内容の記録をさせることも検討しなければなりません。
労務管理ツールで、業務内容や成果を記録できるものもあるようなので、検討してみるとよいかと思います。
4 テレワークの導入等の働き方改革についてはご相談ください
テレワーク(在宅勤務)については、費用面や上記労務管理について色々ハードルがあるのが現状です。
ただ、今回の新型コロナウイルスの影響から、導入に踏み切る企業も多くなっています。
適正な労務管理についてのルールと制度設計を前提に、その運用をしっかりと行っていけば、新しい勤務形態を作り出すことができるかもしれません。
弁護士法人戸田労務経営は、こうした働き方改革に関するご相談も数多く扱っております。
いつでもご相談下さい。
新型コロナウイルスに関する企業の労務対応
弁護士法人戸田労務経営です。
新型コロナウイルスの拡大が止まらず、心配な日々が続きますね。
さて、当事務所の竹口英伸弁護士は、医師免許を持ち、現役産業医としても活躍をしていますので、新型コロナウイルスの感染についても日々対応をしております。
そこで、今回の新型コロナウイルスへの対応について、竹口弁護士による医療の観点を含め、所長弁護士の戸田が労務対応をまとめました。
新型コロナウイルスの現状
感染が疑われる従業員に対する措置
① 保健所への連絡
② 自宅待機命令(給与を支払うべきか?)
感染者が発生した場合
① 保健所からの連絡
② 従業員本人からの申し出によって感染が判明した場合
③ 知事からの強制入院・就業制限指示がされた場合の企業の労務対応は?
社内での感染予防も重要です!
<参考>
感染者発生時の会社の対応(NTTdataの例)
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/information/2020/021400/
https://www.city.minato.tokyo.jp/hokenyobou/oshirase.html
帰国者・接触者相談センター【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html
新型コロナウイルスについて【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
新型コロナウイルスに関するQ & A(企業の方向け)【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
新型コロナウイルス感染症対策本部【首相官邸HP】
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/taisaku_honbu.html