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【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第10回:従業員の退職トラブル②問題社員)
弁護士法人戸田労務経営です。
代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。
運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。
輸送経済新聞4月12日号掲載の第10回は従業員の退職トラブルについて取り上げました。
記事内容をご紹介します。
従業員の退職トラブル②問題社員
引き続き、労使トラブルで最も多い、労使の「別れ(=退職)」について掲載する。前回は、突然の別れがテーマだったが、今回は、逆に会社の方が愛想を尽かし、「辞めてほしい」と別れを告げる場面を取り上げる。
いわゆる、問題社員への対応の問題だが、非常に難しい問題で、指折りの労務相談だ。特に、「有無を言わさぬ一方的な別れ=解雇」事案は、労使紛争のリスクが極めて高い。
会社側は自由に解雇できず
よくあるのは、こんな事例だ。ある運送会社では、普段から勤務態度が悪くて現場でもトラブルばかり、配車に対しても文句を言い続けるドライバーに頭を悩ませていた。ある時、そのドライバーが居眠り運転をして大きな自損事故を起こした。幸いにも大きなけががなかったこともあり、会社としては、「辞めさせるチャンス」と解雇処分をした。
だが、その後突然、弁護士から「解雇は無効であり、復職を求める。復職までの賃金は全額支払うように」という内容証明郵便が届き、裁判所での労働審判の結果、最終的に高額の解決金を支払うことになってしまった。
会社からすれば、積もり積もった積年の問題があり、我慢に我慢を重ねてきていた。「なぜ解雇が認められないのか」との不満の声はよく耳にする。残念ながら、会社から告げる「別れ」は、法律による縛りがある。
これは、日本の雇用慣行の問題につながる。日本は高度成長期以降、終身雇用の考え方をベースとしてきた。時代が変わった今でも、そうした終身雇用的な発想の根本は変わっていない。
そのため、特に正社員の雇用を途中で打ち切る解雇というのは、よほどのことがない限り認められない。解雇に相当するほどの重大な事情があり、かつ、解雇が避けられないほどの事情がなければ解雇無効となってしまう(労働契約法16条)。労働者が自由に別れを告げてよい、という話とは全く対照的だ。
無効時は重い負担やリスク
解雇無効となればどうなるか。文字通り解雇はなかったことになるので、労働者を復職させなければならない。一度別れを告げた相手とやり直すのは、なかなか難儀なことだ。
それだけではない。不当解雇の時点から復職させるまでの期間は、働いていない状態でも給与を支払わないといけないのだ(バックペイの支払い)。
労働者側が、復帰を望まない事案も多いが、その場合は職を失うことに対する解決金を払うのが通常だ。これは、バックペイを参考にしつつ決められるが、場合によっては労働者の給与1年分以上になることもある=表。
また、弁護士対応や団体交渉対応、裁判所に出頭する会社担当者の時間的ロスも実際上は大きなコストだ。
さらに、今問題となっているのが、会社の名誉や信用の低下のリスク(レピュテーションリスク)だ。近年では、SNSなどで簡単に情報が発信され、会社の労使トラブルに関するマイナス情報も簡単に広まってしまう。労使トラブルによる会社の名誉・信用の低下するリスクは非常に身近になっている。
有効か否かはプロセス次第
安易な解雇は非常に危ない。もちろん目に余る事案であれば解雇が有効と認められるが、裁判所は解雇までの「プロセス」がしっかりしているかを重視する。私が見る限り、このプロセスを踏めているケースはとても少ない。
愛想を尽かして「別れたい」のに、別れさせてくれないというのは会社だけではなく、労働者にとっても不幸なことだ。 別れは一方的ではなく、説明して双方納得のもとできれいに別れたい。これはまた次回。
表:解雇により会社の三大リスク
復職リスクと多大な金銭コスト | 解雇した労働者を復職させつつ、復職までの賃金を払わないといけない |
紛争対応のための人的コスト | 労使紛争に対応する企業担当者の時間ロス |
会社の名誉・信用が低下するリスク |
最近はSNSなどの情報発信が顕著 |
【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第9回:従業員の退職トラブル①~突然の別れ?)
弁護士法人戸田労務経営です。
代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。
運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。
輸送経済新聞3月1日号掲載の第9回は従業員の退職トラブルについて取り上げました。
記事内容をご紹介します。
従業員の退職トラブル①~突然の別れ?
最近、インターネットの普及もあり、従業員と会社の労務トラブルが頻繁に起きている。こうした労務トラブルが最も起きやすく、根深く大きな紛争に発展しがちなのは、従業員が退職する時だ。
労務トラブルの背景を見ていくと、実は夫婦関係に近い。それもそのはず、会社と従業員は夫婦よりも長い時間を共にする(ことが多い)ので、わずかなすれ違いが不満につながる。
だからこそ、「別れ」のシーンの退職の場面で、労使紛争が爆発しがちだ。今回から、こうした別れ際の労使トラブルをいくつか取り上げていく。
代行業者を使い急に辞める
まず、最近ホットなのが突然退職。いわゆる「バックレ」の事案に頭を抱えているのをよく目にする。例えば、ドライバーAがある日突然会社を欠勤し、その日に退職代行を名乗る業者から連絡が入る。「Aさんの代わりに連絡します。Aさんは2週間後に御社を退職します。それまでは年休を取得します。退職の手続きに関する資料は郵送で送ってください。本人には一切連絡をしないでください。」と言うのだ。
運送会社にとって、売り上げを出すドライバーの無断欠勤はご法度。当然会社は怒り心頭だ。退職届を持ってくるならまだしも、全く見知らぬ退職代行業者と名乗る人物が、本人に代わって退職を伝えてくる。最近は退職代行業者ではなく、弁護士がこうした退職の代行をする事例も多い。
このような場合、「退職を撤回させたい。その上で厳しく指導してやりたい」という相談を受けることがある。だが、結論から言うと難しい。
去る自由は権利として保護
従業員が退職の意志を固めてしまった場合、引き留める法律がないからだ。法律では、無期雇用の労働者は2週間の予告期間さえ置けば、いつでも何も理由がなくても退職をすることが自由に認められている(民法627条1項)。
理不尽なようだが、かつて強制労働が横行していた時代の反省として、労働者の退職の自由が、憲法の職業選択の自由から派生する権利として、強く保護されているのだ。
退職代行業者は、交渉をしてくると非弁行為として弁護士法に違反することもあるが、単に意思を伝達するだけなら問題なしとされることも多い。
ただ、これは基本的には「無期雇用」の労働者の話。誤解が多いが「有期雇用」の労働者には退職の自由はないので、突然辞めようとしても引き留めは可能だ。
また、引き留めはともかく、何か責任を追及できないか、という相談も多い。
厳密に言えば、民法では2週間の予告期間が必要なので、「今日辞めるので行きません」という場合、2週間の働く義務の放棄(債務不履行)になるので、会社に損害が出れば賠償請求は理屈上可能だ。
ただ、ここでの損害を証明するのは非常に難しいことが多い。さらに言うと、事例のように年次有給休暇の消化を宣言されてしまったら、退職日まで年休で労働免除となるので、債務不履行にはならない。
このように、業員への対応は困難な問題をはらむ。もちろん、見過ごせないほどの悪質な問題を起こして辞めていこうとする従業員に対しては毅然(きぜん)とした対応は必要だろう。ただ、そうでもなければ冷静に対応したい。
実際、突然辞めていく従業員は、会社が気づいていないだけで、在職中から腹に何かを抱えている人がほとんどだ。特に最近は、辞めてから突然残業代請求をしてくるドライバーは、辞め方も突然だったということが多い。労務のほころびが退職事由にも直結する。
そして、辞め方の悪い従業員に対して責任追及をしたいあまりに深追いをし、逆に従業員から残業代請求を受け、何倍・何十倍もの「カウンターパンチ」を食らってしまう事案も後を絶たない。
結局は自社リスクとの兼ね合いが重要だ。「去る者は追わず」でドライな「別れ」を受け入れることが肝要だったりもする。
【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第8回:退職した従業員への免許取得費用の請求)
弁護士法人戸田労務経営です。
代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。
運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。
輸送経済新聞1月25日号掲載の第8回は退職した従業員への免許取得費用の請求の考え方について取り上げました。
記事内容をご紹介します。
退職した従業員への免許取得費用の請求
物流・運輸業のドライバーには資格を取得させて、業務させることも多いだろう。
例えば、玉掛け免許がなければ現場での積み込みもままならないため、入社後ほどなくして未経験者に免許を取得させることは、多くあると見られる。その他にも、大型免許を取得希望者に対し免許取得のため、学校への通学費用を支出することもあるだろう。
もちろん会社としては、意欲のある従業員に対してはできる支援を行い、会社に貢献をしてほしいという思いがある。免許を取得し、今までにできなかった業務をこなしてもらえればそれに越したことはない。
ところが問題は、ドライバーが退職する場面で起こる。ドライバーが免許取得した直後に退職してしまった場合は、特に問題となる。
取得した免許を持って同業他社に転職してしまうのであれば、最初から免許の費用など出さなかったというのが本音だろう。最近は大型免許を保有するドライバーは引く手あまたで、条件の良い求人があればすぐに転職されてしまうことも多い。
そこで、「ドライバーに免許取得費用を返せといえるのか」と相談をもらう事案が増えているが、どうなのか。
ルールがないと返却は困難
社内で何もルールもない場合には、返還を求めるのは難しい。
単に会社が業務に関連する費用負担をしただけと考えられてしまうからだ。
最低限、免許取得に関する制度作り、取得費用は会社からの貸付であって、返済をしないといけないことなどを決めておくことが必要だろう。
例を挙げると、
免許取得後●年間継続勤務した場合には、取得費用の返済を免除するが、●年間以内に退職した場合には取得費用を返済しなければならない |
といった書面を交わすことだ。
ただ、一つ問題となるのは、労働基準法16条が定める「賠償予定の禁止」に反しないかという点だ。
つまり、このような規定は、労働者に●年間の継続勤務をある意味義務化する。途中でその義務を破った場合には費用の賠償を求めることを予定するので、賠償予定条項と考えられるからだ。
自身のためか業務に必要か
この点についてのポイントは、「本人が費用を負担すべき自主的な修学(技能習得)」に対する貸付制度となっているかどうかだ(東京地判平成14年4月16日=野村証券事件)。
労働者自身が、専ら自身のスキルアップなどのため、自主的にその免許取得や修学を選択した場合であれば、合法となる。
反面、それが労働者のスキルアップになるとしても、会社が、業務に必要との観点から業務命令で修学や研修を受けさせた場合は自主的とはいえない(東京地判平成10年3月17日=富士重工事件)。これは違法となる可能性が高い。
実際には、当該免許が業務での必要性が高い場合は、会社が経費として負担すべきだと考えられるからだ。
制度を作成し理解と協議を
こうした観点からすると、最初の例での玉掛け免許などは業務での必要性が強いため、返還を求めるのは難しい可能性が高い。
だが、大型免許取得費用は仕組み次第で返還請求は可能だ。図表を参照し、制度作りを検討してほしい。
ただ、最終的には仕組みをドライバーに理解してもらうこと、退職の際にはしっかりと話し合いをしつつ、返済をどこまで求めるかはよく協議することが重要だ。
制度は人が動かすものであって、制度だけあればよいということではない。
ポイント | 内容 |
①会社での免許取得制度という形整える | 会社が支援する免許を選択し、労働者自身が申請書で申請する形にする |
②会社が免許取得費用を貸し付ける形にする | 取得費用は資料添付させるなどして明確に。貸し付けることを明記する |
③免許取得後一定期間の在籍で貸し付けを免除し退職した場合は返還する約束をする | 期間は免許の性質によるが、裁判例からすると最長5年。1~3年程度が無難なことも |
④退職時にはよく話し合って返済の合意を得る | 実際に退職する場合でも一方的給与控除するのは禁物。ここでも話し合うこと |
【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第7回:事故を起こしたドライバーの賠償責任)
弁護士法人戸田労務経営です。
代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。
運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。
輸送経済新聞12月14日号掲載の第7回は運送会社での同一労働同一賃金の考え方について取り上げました。
記事内容をご紹介します。
事故を起こしたドライバーの賠償責任
運輸・物流業界では、ドライバーの存在が欠かせない。だが、ドライバーの運転する大小さまざまな車両は、多様なリスクを抱えている。
特に問題になるのは事故だ。トラックの事故は、重大事故に発展することも多く、社会問題に発展することもある。今年6月、千葉県八街市で複数の子どもが犠牲になる痛ましい事故が起きた。
運転ミスで高額な会社負担
そうした中で、会社はドライバーの交通事故を防ぐためのさまざまな取り組みを行なっているが、それでも事故は起きてしまう。
例えば、人身事故にならなくても、ドライバーの単純ミスによる自損事故で車両を大破させてしまった場合は、高額な修理代が発生することもある。
車両保険に加入していればよいが、車両台数が多数に上る企業では、保険料を考慮して加入を見送ることも多いと聞く。
そうなれば、高額な修理代を会社が負担するだけでなく、車両の修理期間中には代車費用に加え、車両を走らせることができず、売上が落ちる休車損害までもが発生しかねない。
事故の原因がドライバーの一方的な過失だった場合、例えば、居眠り運転をした、「ながら運転」をしたなどの問題があった場合、会社が一方的に責任を負うのは、ふに落ちないだろう。
利益を得るなら損害も負う
最高裁判決は判断要素から
施設(車両)の状況 | 施設や車両に事故の原因があるか |
労働条件 | 事故を起こすほど過酷な勤務かどうか |
勤務態度 | 普段から事故が多いなどの事情があるか |
加害行為の状態 | 事故の過失が重いかどうか |
予防の配慮 | 安全運転教育などで事故予防を徹底していたか |
損失分配の配慮 | 保険に加入しているかどうか |
【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第6回:同一労働同一賃金とは何か⑥=東京メトロコマース事件)
弁護士法人戸田労務経営です。
代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。
運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。
輸送経済新聞11月9日号掲載の第6回は運送会社での同一労働同一賃金の考え方について取り上げました。
記事内容をご紹介します。
同一労働同一賃金とは何か⑥
今回は同一労働同一賃金最後のテーマとして、退職金を取り上げる。
退職金に関しても非常に相談が多い。多くの企業では、退職金は正社員だけのものとして制度設計をしていることがほとんどだからだ。
金額が大きく原資確保困難
それもやむを得ない。企業にもよるが、退職金はまとまった金額となる。長年勤続をしていた場合には、相当の金額になるのが一般的だ。毎月積み立てをしなければ支給はできない。契約社員やパート社員にも支給せよとなると、企業の原資確保は相当厳しくなる。
昨年2020年10月13日に最高裁判決が出た東京メトロコマース事件で争われた一大テーマだ。駅の売店業務に従事し、正社員とほぼ同じ業務を行うものの、契約期間が1年で更新される契約社員が、自分に退職金が出ないのは違法だとして訴えた事件だ。
何と19年2月20日の東京高裁では、この請求が一部認められた。正社員の基準の4分の1(25%)は契約社員にも退職金として支給しなければならないというのだ。
退職金が持つ二つの性質
東京高裁が重視したのは、退職金の性質だ。退職金には二つの性質があると言われる。①労務対価の後払い的性質。現役の際に働いた賃金の一部が退職の時にまとめて後払いされるという性質。②長年の勤務に対する功労報償。長期間の勤務で企業に貢献したことに対するねぎらいとしての支給だ=表。
東京高裁は、②の性質を重視した。10年前後の長期間勤務してきたメトロコマースの契約社員にも、功労報償的性格は当てはまるため、一部については退職金を支給すべきとした。この結論からすると、一定の期間継続勤務をした契約社員やパート社員に対しても退職金を支給しなければならないこととなる。企業には、かなり厳しい。
それで注目されたのが昨年10月の最高裁判決だったが、一転して契約社員の退職金請求は完全に否定された。なぜか。一つは、先述の退職金の性質論だ。最高裁は、高裁が重視した功労報償(②)だけではなく、賃金の後払い的性質(①)があることも強調している。日本の賃金は、職務遂行能力や責任の程度など種々の要素を踏まえて、総合的に決定されることが多い。
日本型賃金の典型とも言える「職能給」は、年齢・責任・職務などの評価がごちゃ混ぜになっていて、「職務」で割り切れない。「同一労働」という評価が難しいという理屈だ。
正社員 | 契約社員 | |
①業務内容 | 売店販売業務を行う。ただ、立場は複数売店のエリアマネージャーを担う。また、欠員販売員の補充勤務を行うことがある | 売店販売業務を行うことは同じ。ただ、エリアマネージャーや補充勤務はなし |
②配置の変更(人材活用の仕組み) | 売店以外の部署へ配置転換、職種転換、出向なども命ぜられる | なし |
③その他の事情=正社員登用制度 | 契約社員から正社員に登用されるルートとして正社員登用制度がある。毎年相当数の受験者が降り、一定数が合格している |
正社員の人材確保の目的も
もう一つ、最高裁判決が実質的に重視したのは、正社員の人材確保の観点だ。「正社員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的」から、さまざまな部署などで継続的に就労することが期待される正社員だけに、退職金を支給することが合理的だという大多数の企業の実態を反映したものだ。
最高裁判決を踏まえれば、今まで通り退職金は正社員だけ、という制度設計もありだ。とはいえ、企業も単にパート・有期従業員に対し、退職金を一律に出さないのではなく、人材活用の仕組みなどにも踏み込んで、正社員だけに「なぜ退職金を支給するのか」を考え、制度設計を見直すことは必要だ。
同一労働同一賃金の判断ポイント、①職務内容の違い②人材配置の違い③その他の事情についての検討。そして、しっかりとした制度説明を行うことだ。
退職金制度は中小企業退職金共済制度(中退共)を始め、積立制度は多数存在する。最近は会社の税金対策と従業員への福利厚生的な制度として、各従業員に保険加入させて退職時に払い戻しを受けるという形をとっている企業もある(保険会社と要相談)。
退職金制度の充実は、正社員に限らず幅広い人材確保につながる面がある。同一労働同一賃金の観点だけではなく、企業での制度の在り方が問われる時代になっている。
【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第5回:同一労働同一賃金とは何か⑤(休暇)=日本郵政事件)
弁護士法人戸田労務経営です。
代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。
運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。
輸送経済新聞10月12日号掲載の第5回は運送会社での同一労働同一賃金の考え方について取り上げました。
記事内容をご紹介します。
同一労働同一賃金とは何か⑤(休暇)
これまで4回に渡って連載してきた同一労働同一賃金のテーマだが、よくある相談の一つに「休暇」の問題がある。
「特定の休暇を正規雇用のドライバーだけに与える扱いでよいのか」という相談だ。
運輸・運送業のドライバーという仕事は自動車を走らせることで初めて売上に貢献するという側面がある。そのため、ドライバーの休暇取得自体を良しとしない風潮が未だに多いのが現状だ。年次有給休暇の取得すら浸透していない現状がある。
そんな中で、たとえば、いわゆるお盆休み等の夏期休暇、年末年始休暇等の休暇をどこまで認めるかは企業にとっては大きな悩みだ。
夏期休暇や年末年始も関係ない輸送が求められる業界においては、盆も正月もないこともある。本音を言えば年中無休で走ってほしいところだが、ドライバーの人手不足は深刻である。近年の20代~30代は、とにかくライフワークバランスを重視するので、休日休暇の充実は採用のために必要不可欠だ。
正規雇用のドライバーには、夏期休暇や年末年始休暇を与えるだけでなく、冠婚葬祭の時の慶弔休暇、ドライバーが病気や怪我で長期間運転ができなくなった場合の病気休暇等、色々な休暇制度を考えていかなければならない時代だ。
そうなれば、正規雇用のドライバーの休暇の穴埋めが問題だ。ドライバー全員に休みを与えるわけにはいかない。
そこで、有期雇用(定年後再雇用)のドライバー等には夏期休暇その他の休暇は認めずに、盆正月その他も可能な限り走ってもらうという方法が考え付く。果たしてこの扱いに問題はないのか。
業種は違うが、この点の結論を出した事件がある。
2020年10月15日の日本郵政事件最高裁判決だ。夏期冬期休暇が正社員だけにしか与えられていないこと、病気休暇は正社員が有給扱いなのに対して契約社員は無給であること等の格差があることについて、契約社員が違法だと訴えた事件である。
最高裁は、この格差をいずれも違法だと判断したのだ。(表)
これらの休暇の趣旨・目的からすると、正規と非正規でこれを区別する理由がない、という判断だ。
この夏期冬期休暇の格差が違法とされたことは非常にインパクトが大きい。
これまで、運輸・運送業界だけでなく、夏期・年末年始休暇を正社員だけとして、非正規社員、特にパートタイマー等については当然のように与えていない企業は多数あった。
しかし、その扱いは違法で、休暇日数分の損害賠償を払う必要があるというのがこの判決だ。この慣例的な扱いも変えなければならない。
病気休暇も同様だ。病気や怪我で長期欠勤をするドライバーについての待遇は同じにする必要がある。もし、正規ドライバーに病気欠勤制度があるなら、短期の有期契約ドライバーであっても、一定期間の病気欠勤を設けることを検討しなければならない。
ドライバーが休暇を取った際の欠員は、正規・非正規を区別して穴埋めするのではなく、全員でカバーしていかなければならない。
盆・正月等に走ってくれるドライバーにはそれなりのインセンティブ(年末年始手当や人事評価)を与えることも有用だろう。
病気欠勤についても、ドライバーの長期雇用のためにも必要であるし、「本当に今後も走れるか」というシビアな判断をする上でも有用な制度である。非正規ドライバーも含めて有効に活用していきたい。
このように、同一労働同一賃金の流れは休暇にも及び、もはや「同一賃金」ですらない。
賃金以外の待遇全般については、今一度従業員の雇用区別で整理して見直すことが必要だろう。
【日本郵政事件最高裁判決での休暇関係の結論】
|
休暇・手当の内容 |
休暇・手当の趣旨・目的 |
結論 (※) |
夏期冬期休暇 |
夏期・冬期の祝日。
|
年休や病気休暇とは別に労働から離れる機会を与えて心身の回復を図る |
× |
病気休暇 |
私傷病の際、正社員は有給での休暇/契約社員は無給でしかも年10日に限定 |
解雇を猶予して安心して療養に専念させ、健康回復を図る。 |
× |
※〇:格差許される ×:格差許されない
【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第4回:運送会社での同一労働同一賃金とは何か④=大阪医科薬科大学事件)
弁護士法人戸田労務経営です。
代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。
運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。
輸送経済新聞9月14日号掲載の第4回は運送会社での同一労働同一賃金の考え方について取り上げました。
記事内容をご紹介します。
物流の労使・法律トラブル 第4回 「同一労働同一賃金とは何か④=大阪医科薬科大学事件」
今回は、運送会社からも多く相談を受ける賞与支給について取り上げる。
同一労働同一賃金に関して最も多く受ける相談の一つが「ボーナスを契約社員やパート職員に払わないといけないか」という相談だ。
これは多くの中小企業で、「ボーナスは正社員のみ」という制度が当然のように考えられていたことに起因する。いわば、ボーナスは長く務める正社員へのご褒美(報償)との考えは、古くから日本企業に根付いていた。契約社員やパートに支払われないことを疑うこともない時代が長く続いていた。運送・運輸業界でも、契約社員のドライバーや内勤パートにボーナスを支給しない会社は多いだろう。
正直、われわれ法律実務家も同一労働同一賃金が導入されたとして、賞与などに影響することはないだろうと思っていた。
貢献に応じて払う可能性も
ところが、この考え方に一石を投じたのが2018年12月に厚生労働省が出した同一労働同一賃金ガイドライン(厚労省告示430号)だった。
ガイドラインで、正社員と貢献が同じであれば、「貢献に応じた部分」については非正規労働者にも「正社員と同一の賞与」を払うべきとの考え方が出された。つまり、多くの企業での賞与の扱いが違法となる可能性があるということだ。
仮にパート・有期労働者に賞与支給を一律に適用すると、各企業の固定費の増加は莫大になる。それどころか賞与や退職金制度の位置づけと企業内の従業員のあり方にも影響を与えかねない。
この点に一つの結論を与えたのが、昨年2020年10月13日の最高裁判決だ。これは正社員とほぼ同じ業務を行う、大学のアルバイト事務職員に賞与が支給されていないことが違法だと争われた事件だ。
高裁では、アルバイト職員の賞与請求の一部(なんと60%)が認められていた。だが、最高裁判決は一転、アルバイト職員の賞与請求を認めなかった。
最高裁では、賞与・ボーナスというものが何たるかを丁寧に考えていた。「功労報償や将来に賃金意欲向上」「正職員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的」といった、人材確保の観点にも触れている。短期間しか勤務しないアルバイトへの支給にはなじみ難いという考えで、これは先に触れた日本企業に何となく根付いていた価値観を追認したようにも思える。
最高裁判決を踏まえれば、今まで通り、「賞与を出さない」「寸志にとどめる」という制度設計もあり得るだろう。多くの企業はこの結論に安堵した。ただ、注意が必要だ。この最高裁判決は、パート・有期従業員であれば一律に賞与を払わなくても良いと言ったわけではない。
賞与の役割は何かを明確に
まず、会社での賞与制度がどのようなものか。本当に「正社員の確保」につながるものになっているか検討する必要がある。同一労働同一賃金の判断ポイント―①職務内容の違い、②人材配置の違い、③その他の事情も重要だ(=表)。
運送会社のように、非正規・正規の従業員で作業内容や職務内容に差がないドライバー・内勤職員などでは判断ポイントが全く同じになりがち。賞与支給に差をつけるなら、責任や役割などの違いを考えないといけない。
また、表③の正社員登用制度も重要だ。正社員へのルートが常に開かれていることで、パート・契約社員も努力次第で賞与がもらえる可能性があるという人事体系が見いだせる。
結局、会社において賞与の位置づけを明確にし、正社員だけのものだという理由を従業員にも説明できなければならないということだ。「賞与は正社員だけの特権」という固定観念は一旦捨てて、賞与制度を見つめ直すことをお勧めしたい。
正職員 | アルバイト職員 | |
①業務内容 | 定型的で簡便な作業ではない業務が大半。中には法人全体に影響を及ぼすような重要な施策も含まれ。業務に伴う責任は大きい | 業務の内容は、定型的で簡便な作業が中心 |
②配置の変更(人材活用の仕組み) | 出向や配置換えなどを命じられることがある。人材の育成や活用を目的とした人事異動が行われていた | 原則として、業務命令によって他の部署に配置転換されることはなく、人事異動は例外的 |
③その他の事情=正社員登用制度 | アルバイト職員から正職員に登用されるルートとして正社員登用制度がある。毎年相当数の受験者がおり、一定数が合格している |
【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第3回:運送会社での同一労働同一賃金=長澤運輸事件)
弁護士法人戸田労務経営です。
代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。
運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。
輸送経済新聞8月10日号掲載の第3回は運送会社での同一労働同一賃金の考え方について取り上げました。
記事内容をご紹介します。
物流の労使・法律トラブル 第3回 「同一労働同一賃金とは何か③=運送会社での同一労働同一賃金・長澤運輸事件」
今回取り上げるのは、前回と同じく、運送会社のドライバーの同一労働同一賃金が問題となった長沢運輸事件(最高裁2018年6月1日第二小法廷判決)だ。
セメント・液化ガスなどを扱う運送会社で、バラセメントタンク車のドライバーが、正社員との待遇の差について訴えを起こした。
定年後の再雇用で待遇変化
訴えを起こしたドライバーは60歳で定年を迎え、再雇用嘱託社員として契約社員となったが、現役の正社員時代に支給されていた基本給や各手当、賞与の支給がなくなった。
そのため、ドライバーは同一労働同一賃金のルール違反だという主張をした(旧労働契約法20条)。
会社の規模はそれほど大きくはないため、転勤はない。現役のドライバーも、定年後の嘱託ドライバーもタンク車を運転して運送業務を行う。
仕事内容は全くと言っていいほど同じである。
前回取り上げたハマキョウレックス事件では、同じ仕事に携わる非正規雇用のドライバーに対する手当の不支給の大半が不合理とされた。
一見すると、今回も会社側に非常に厳しい判断が出されるように思われた。
だが、そうはならなかった。長沢運輸事件では基本給を始め、住宅手当や家族手当、賞与において待遇に格差があっても、同一労働同一賃金には違反しないと判断されたのである。
同じ業態で、同じドライバーなのに、長沢運輸事件とハマキョウレックス事件では、どうして違いが出たのか。
定年後再雇用という事情
大きかったのは、「定年後再雇用」という事情だ。
労使の間で労働組合を通じて、定年後再雇用の制度設計について、しっかりと協議を重ねたことも重要なポイントになった。
同一労働同一賃金の問題は、仕事内容・責任や配置が同じかどうかという条件だけでは、違法かどうかは決まらない。「その他の事情」も重要な要素となる。
日本での定年制度は、長期雇用や年功処遇を前提とする中で、一定の年齢での人事刷新を図るものだ。賃金コストが青天井にならないようにする目的もある。
そのため、定年後に再雇用をする場合は、長期間雇用は通常予定されていない。
だからこそ、例えば、住宅手当や家族手当のような生活費補助の手当の差があることも合理的とされている。
正社員には幅広い世代がいるので、それぞれのライフステージで、定年後世代よりも生活費が多くかかる可能性が高いと言えるからだ。
基本給も同じだ。長沢運輸では、嘱託ドライバーに対し、成果に応じた歩合給の比率を現役世代よりも格段に多くした。
腕のよいドライバーは、年齢に関係なく売り上げを上げることができる。それまでは年功的な賃金だったところを、各ドライバーの成果に応じた給与体系に変えていくのは合理的だ。
労使協議が重要な要素に
もう一つ重要な点は、労使の話し合いである。
裁判所は「労働者の賃金に関する労働条件のあり方について、基本的には、団体交渉などによる労使自治に委ねられるべき部分が大きい」と言う。
要するに、賃金や労働条件を決めるのは労使協議であって、法律ではない。
どのような待遇にするのかを綿密に話し合い、労使双方で合意できていれば、多少の待遇の違いがあっても納得のいく制度づくりはできる。
まとめ
いま、ドライバーの人材不足は深刻で、年齢層のボリュームも定年前後に偏っている。60歳を超えても能力の高いドライバーは沢山いるため、定年でドライバーを一律に切るという会社は少ないと思う。
私が見る限り、多くの運送会社のドライバーで同一労働同一賃金が問題となるのは、この高齢者雇用についてである。
歩合給の組み方も含め、ドライバー全体が納得のいく制度を協議することが重要だ。
【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第2回:運送会社での同一労働同一賃金の考え方=ハマキョウレックス事件)
弁護士法人戸田労務経営です。
代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。
運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。
輸送経済新聞7月13日号掲載の第2回は運送会社での同一労働同一賃金の考え方について取り上げました。
記事内容をご紹介します。
物流の労務・法律トラブル第2回 「同一労働同一賃金とは何か②」~運送会社の事例=ハマキョウレックス事件
前回は、日本での同一労働同一賃金が、正社員と非正規社員の格差是正の問題だと紹介した。今回は、日本型の同一労働同一賃金の具体的な中身について取り上げる。
運送会社の事例としては、ハマキョウレックス事件(最高裁2018年6月1日第三小法廷判決)が有名。全国規模の運送会社で、契約期間が決まっている非正規のドライバーと、契約期間の定めがない正社員のドライバーとの待遇格差が争われた事案だ。
非正規ドライバーには、正社員ドライバーに支給されていた無事故手当、作業手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、皆勤手当などが一切支給されていなかった。この待遇格差が同一労働同一賃金の原則(当時の労働契約法20条)に違反するとして争われた。
考慮すべきポイントは3つ
同一労働同一賃金を考える際に考慮すべきポイントがある。①職務の内容②人材活用の仕組み③その他の事情――の3つだ。
①の職務の内容というのは文字通り、仕事の内容や、責任の重さなどのこと。②の人材活用の仕組みとは、会社全体の人事の在り方として、職務内容や配置などの変更があり得るかという観点だ。
会社によっては、正社員に対して、将来的な管理職・幹部候補を念頭に置いた出世コースを置くことがある。
例えば、若いうちはドライバーとして現場の経験を積ませつつ、ある程度の期間を経て転勤でさまざまな現場を経験させる。経験を積んだら運行管理者としてドライバーの管理を行い、営業所長を経験させるといったことだ。
職務内容に合わせた支給を
では、ハマキョウレックス事件ではどうだったのか。①の職務の内容については、正規も非正規も運送会社のドライバーとして差が全くなかった。
だが、②の人材活用の仕組みの点では違った。全国規模の会社のハマキョウレックスでは、全国転勤がある正社員を想定した職務等級制度が作られていた一方で、非正規ドライバーにはそうした制度がなかった。一つの営業所でずっと働くという立場だった。
同社としては、このように人材活用の仕組みに大きな差がある以上、各種手当の支給に差があってしかるべきだと主張したが、主張の大半が認められなかった。住宅手当以外を非正規ドライバーに支払わないことが全て違法とされた。
理由として、判決では各手当の内容を丁寧に分析していた。
無事故手当を例にとると、「優良ドライバーの育成や安全な輸送による顧客の信頼の獲得」を目的として支給される。
それならば、同じ輸送の仕事を担うドライバー全員に支給することが理にかなっている。単に雇用期間が決まっているかどうかという点で支給の有無を分けるのは不当だとされてしまった。
他も同様の理屈だ。各手当の趣旨や目的を考え、正規か非正規かで区別することにもっともな理由がなければ、ことごとく違法とされている。
例えば作業手当。これは特定の作業を行った対価として支給される。同じ作業を行っているのであれば、正規も非正規も違いがない。
まとめ
このように、判決では非常に厳しい判断をしている。
そもそも運送会社のドライバーは、職務内容に差をつけにくいため、正規と非正規で手当などに差をつけるのはかなり難しいこととなる。
賃金制度を改めて見直すことも必要である。
【メディア掲載】弁護士ドットコムニュースに戸田弁護士の記事が掲載されました(エステの予約、親族の子のお世話まで…女性社長、社員を私物化して大ひんしゅく)
弁護士法人戸田労務経営の労働弁護士の戸田です。
弁護士ドットコムニュースの取材を受け、記事が掲載されました。
エステの予約、親族の子のお世話まで…女性社長、社員を私物化して大ひんしゅく
家族経営の会社なんかで結構よくある話です。
社長と社員の距離が近すぎて、社長がプライベートのことに社員を使う。
法的な労働問題としては、記事に書いたとおり「こんなの業務命令の範囲外だろ」「パワハラだろ」って話です。
何よりも社員の不満に気づかない社長が痛い。
こういうケースで、社員に不満が溜まりまくった結果、会社を恨んで意趣返し・・・そんな事件も見たことあります。
まず、公私混同の切り分け。
プライベートのことは自分でやる、もしくは秘書やベビーシッターさんを雇用すべきでしょう。
・・・企業側の労務管理以前の問題ですね。
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