1 IT業界の企業の皆様へ(業界の基本情報)
IT業界では、絶え間ないイノベーションにより次々と新しい技術やビジネスモデルが生まれており、市場全体としては右肩上がりの成長を遂げています。
近時のIT市場においては、従来型の情報システム開発需要が落ち着きをみせる一方で、クラウド、ビッグデータ、IoTやAIなどいわゆる第三のプラットフォーム(3rd PF)の伸びが期待されています。
複雑な多重下請構造
IT業界には多種多様な業種・職種が混在しており、複雑に多重化した下請け構造が形成される傾向にあります。
このような産業構造のため個々の労働者の労働時間管理や指揮監督が難しい場合が多く、労務トラブルが引き起こされやすくなっています。
メンタルヘルスの問題
メンタルヘルス不調者の割合が多いのもIT業界の特徴です。令和3年の厚生労働省の調査ではメンタルヘルス不調により退職した労働者の割合は11.7%にのぼり(情報通信業)、これは全産業中、最も高い割合となっています。
契約の不備に基づくトラブル
ソフトウエア・システム開発の場合、契約書等で業務範囲や費用が特定されていなかったり、要件定義や基本設計などの段階で受注者発注者間の認識に齟齬が生じていたりすることがしばしば見られ、契約トラブルが発生しやすくなっています。
プロジェクトの規模によっては開発フェーズを分けて段階的な契約が行われることが珍しくないですが、開発フェーズごとの費用や業務範囲なども不明確になりがちです。
2 IT業によくある労務トラブル(リスク)とその実態
① 長時間労働(未払残業代)
サービスの納期などの関係で長時間の時間外労働を行わざるを得ない場面も多く、また、複雑な多重下請構造のために労働時間管理が難しく、残業代支払いのリスクが大きいです。
また、主に専門業務型裁量労働制をはじめとするみなし労働時間制の適用に誤りがあり、本来的には実労働時間に対する残業代を支払う必要がある場合もあります。
給与体系面におきましても、年俸制を採用している場合、年俸額に一定時間の時間外手当相当分を含めていない場合には、深夜労働や休日労働も含めて残業代の支払が必要となってくることもあります。
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② メンタルヘルス不調者とのトラブル
メンタルヘルス不調が多いのがIT業界の特徴ですが、メンタルヘルス不調者の休職復職の判断は高度な専門性が必要なため、対応を誤りやすく、労働審判や訴訟へ発展するリスクがあります。メンタル不全自体は心の不調であるため、精神面での症状に目がいきがちですが、自覚症状として出やすいのは体の不調であることが分かっています。
メンタル不全者の約9割近くに疲労・頭痛・食欲不振・睡眠障害などの日常的な症状が最初にみられております。前述の症状をしきりに訴える従業員がいる場合には、メンタル不全の可能性があることも頭に入れ、早期に専門医を受診してもらう、などの動きが必要となります。
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3 戸田労務経営の対応事案
働き方改革全般に対応
100名規模のIT系企業で、同一労働同一賃金に対応するための就業規則の策定、取引先へのSE派遣についての派遣協定の整備を行いました。
メンタルヘルス問題への対応
うつ病を患ったSEの従業員の対応について休職命令書の準備、復職の際の対応についてのアドバイスを含めて、全般をフォローしました。
4 労務応援コンサルティングの勧め
弁護士法人戸田労務経営では、IT業の労務の全分野に渡るトータルサポートを実現します。
① IT業の特性に応じた日常の労務・法務アドバイス
② IT業に特化した雇用契約書・就業規則等の整備
③ IT業特有の書面・契約関係についてのチェック・書面作成対応
④ IT業に起きる紛争・トラブルを予防するための制度作り
⑤ IT業に起きる労使紛争の迅速な代理対応サポート