相談内容
我が社では、勤務態度の悪かった従業員を解雇したところ、「解雇が不当であるため、復職を求める」との内容の内容証明が届きました。
解雇理由は正当だと考えており、復職させるつもりは全く無かったため、無視していたところ、裁判所から労働審判申立書が送られてきました。
労働審判の期日までわずか1ヶ月程度で、答弁書提出の期限まではあと3週間くらいしか時間がありません。
今繁忙期ですし、とても対応できません。どうすればよいでしょうか。
POINT
労働審判の会社側対応は、準備時間が極めてタイトです。
答弁書の準備・証拠の選別を含めて弁護士代理が不可欠です。
受け取った場合は直ちに弁護士に相談してください!
相談が特に多い業種(産業別)
☑建設業 ☑製造業 ☑情報通信業 ☑運輸・郵便業(トラック運送業)
☑卸売・小売業 ☑金融業・保険業 ☑不動産・物品賃貸業
☑宿泊・飲食業(ホテル・飲食店等) ☑教育・学習支援(塾・予備校等)
☑医療・介護福祉業 ☑サービス業
※従業員から労働審判などを起こされ、従業員から訴えられることはどの業種でも問題になるトラブルです!
従業員からの労動審判の訴えは労使トラブルの最終段階
従業員との労使トラブルにはいくつかの段階があります。
社内での不満の打ち明けがされ、社内協議を行う場面、内容証明を送られて請求を受ける場面、あっせんを申請される場面の段階を経て、徐々に労使トラブルが成熟化していきます。
そして、従業員から労動審判の訴えが起こされるのは、労使トラブルが相当にこじれた段階と言っても過言ではありません。
この段階は、労使トラブルの三大リスクである、①経済的リスク、②人的リスク、③名誉と信用低下のリスクが最も高まっているとも言えます。
⇒詳細は「労使トラブルを未然に防ぐには」
労働審判の概要と流れ
労働審判は、裁判官以外に、労使紛争の実態を知る民間から選任された労働審判員が参加する手続で、申立から2~3ヶ月でのスピード解決が可能な手続であり、近年、労使紛争の解決に非常によく利用されています。
【労働審判の定義(労働審判法第1条)】 ・個別労働関係民事紛争に関し、 ・労働審判委員会(裁判官である労働審判官1名と労使側の労働審判員2名で構成)が ・事件を審理(争点及び証拠の整理)し、 ・調停を試み、 ・調停が成立しない場合には労働審判を行う手続 (個別労働関係民事紛争について当事者間の権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判) |
通常の裁判との大きな違いは、民間から選ばれた労働審判員が参加し、現場の肌感覚を踏まえた解決をするという点です。
さらに、期日は3回までとされていますので、とにかく解決までのスピードが速い。
法的判断を踏まえつつ、「調停成立」を目指して落としどころを探っていく手続です。
労働審判は使用者側が圧倒的に不利
☑労働審判はほぼ解雇・残業代請求の事件で、労働者側に有利な案件が多数。基本的に労働者側が勝ち筋。 ☑しかも、従業員側からまず詳細な申立書が提出されるので、これを読んだ労働審判委員会の心証は一旦労働者側に大きく傾く(心証を会社側に戻すのは大変!) ☑申立書の提出から40日以内に期日を入れるのが原則なので、準備期間が1カ月もない。 ☑第1回期日が勝負。事情のヒアリングや膨大な資料準備が必要で、かなりの時間を取られる。 |
従業員から労動審判を起こされた場合の対応
労働審判は、裁判官以外に、労使紛争の実態を知る民間から選任された労働審判員が参加する手続で、申立から2~3ヶ月でのスピード解決が可能な手続であり、近年、労使紛争の解決に非常によく利用されています。
ですが、従業員から労働審判を申し立てられた会社の対応は極めて大変です。
① 期日選択の余地なし
労働審判は、労働審判申立から40日以内に第1回労働審判期日が開かれます。
そして、労働審判では、通常裁判とは全く違い、この第1回労働審判期日が非常に重要です。
欠席は絶対に許されません。仮に第1回労働審判期日を欠席してしまったら、負けを認めるに等しいです。
② 準備期間が極めてタイト
第1回労働審判期日までに、会社は答弁書という反論書面と証拠を提出しなければなりません。これが非常に大変です。
労働審判で求められる答弁書の記載は、予想される法律的な争点を、ポイントを絞って網羅しなければならず、相当充実したものが求められます。
実際、労働審判は、この答弁書の巧拙で勝敗が決まるといっても過言ではありません。
適切な証拠を全て選別する作業も大変です。
しかも、この作成・準備を第1回労働審判期日の1週間から10日前までに完成させる必要があります。
第1回労働審判期日は申立の40日以内に指定されますので、逆算すると会社側の準備期間は1ヶ月もありません。
労働審判で適切な解決を行うことのメリット
とはいえ、労働審判を起こされたからと言って焦る必要はありません。
裏を返せば、スピーディな解決を目指す労働審判であれば、2~3ヶ月で労使トラブルを解決することが可能だからです。
労働審判では、実に7割程度の事件が、調停(つまり話し合い)で解決しています。
基本的に労働審判は、労働審判委員会によって柔軟に労使トラブルを早期に解決されることを一つの目的としています。これを利用しない手はありません。
逆に、ここであまりに態度を硬直化させて、労働審判が民事訴訟に移ってしまうと(労働審判で解決ができない場合、当事者の異議によって民事訴訟手続に移行します)、労使トラブルによるコスト・リスクがさらに増大します。
つまり、訴訟によって解決が長引くことにより、たとえば解雇に伴う解決金が莫大なものになります(①経済的リスクの増大)。
また、裁判所に出頭する②人的負担リスクが更に増えますし、さらには、特に公開法廷の裁判で噂が広まること等により、③名誉と信用低下のリスクも大きくなります(労働審判は非公開なので、このリスクも低い段階です)。
労働審判を起こされた以上、可能であれば労働審判の中で早期解決を目指すことが、会社のリスクを最低限に守ることにつながります。
従業員に労働審判を起こされた場合でも諦めない!
従業員から労働審判を起こされた場合、労使トラブルがある程度成熟した段階で、すぐに対応が必要です。
放置すると取り返しの付かないことになります。病気に例えるなら、緊急手術の必要がある段階だと考えて下さい。
したがって、従業員から労働審判を起こされた場合は、すぐに労働事件を得意とする弁護士に緊急相談するべきでしょう。
弁護士法人戸田労務経営は、会社側の労働審判について数多くの案件を解決に導いてきました。
不利と思われる労働審判であっても、諦めず、証拠を整理して集めて、会社の主張をしっかりと整理して伝えることです。
とくに重要なのは法的な面はもちろんですが、事実を証拠と矛盾しない流れで説得的に整理すること(ケースセオリーの構築)です。
そして、1回目までに提出する答弁書で全てが決まるといっても過言ではありません。
これができれば、その結果は大きく変わります。
事案にもよりますが、労働者側の請求額を大きく減らして解決でき、勝訴的和解を勝ち取れた事案も多くあります。
戸田労務経営の代表の戸田弁護士は、労働審判の解決経験が豊富であるのみならず、弁護士会・裁判所等で労働審判の研修講師を数多く勤めている等、労働審判解決方法を熟知しています。
答弁書準備・証拠作成・期日前準備・期日対応を全て万全にサポートします。
会社にとって主張すべき事実を主張し、適切な解決を行うには労働弁護士の力が不可欠です。
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