派遣会社を経営する企業です。
弊社で雇用している派遣社員については、非正規雇用と言われているように、派遣先が「いらない」と言えばいつでも雇用契約を解消することができるのでしょうか。
また、派遣については色々と法律が変わっているようです。派遣社員が派遣先の正社員になる場合があるなど、派遣法は複雑でよくわかりません。
このあたりのアドバイスをいただけると助かります。
派遣先企業の意向等はありますが、派遣社員だからといっていつでも自由に解雇できるわけではありません。
また、一定の場合には、派遣先企業に対して直接の労働契約の成立が認められることがありますので、そうした点を踏まえての労務管理が必須です。
労働者派遣とは、派遣会社が雇用する労働者(派遣労働者)を、派遣先企業の事業所に派遣して、派遣先企業の指揮命令の下に就業させる形態です。
このように、派遣労働者(派遣社員)のAさんは、実際は派遣先企業に入って労働しているのですが、派遣先企業との雇用契約はありません。
雇用契約は派遣会社との間で結んでいるので、派遣会社が使用者となります。
特にリーマンショック以後、派遣社員が次々と契約終了となり、いわゆる「派遣切り」という言葉をよく耳にしました。
現在は、派遣社員の不安定な地位を保護するための規定も定められています。
よくなされた「派遣切り」は、派遣先企業が労働者派遣契約を打ち切った結果、派遣労働者が失業するという形で表れました。
場合によっては、それを理由として派遣会社が安易に派遣労働者を解雇してしまうこともありました。
労働者派遣契約が契約期間途中で派遣先企業から解約された場合、派遣社員の保護は一切ないのでしょうか。
日雇派遣が禁止されていることも、派遣切りについての保護ではありませんが、派遣労働者の不安定さからの保護の一つです。
かつては、派遣労働者が1日ごとに連絡を受け、派遣先に1日単位で派遣を受けるという日雇派遣が行われていましたが、現在は30日以内の短期派遣は原則として禁止されています(労働者派遣法35条の4)。
派遣社員の労働者の方の保護の制度としては、派遣先による直接雇用申し込みみなし規定があります。
違法派遣がある場合(次の1~4の場合)、派遣先が派遣労働者に直接の労働契約の申し込みをしたとみなされます(労働者派遣法40条の6第1項、2015年10月施行)。
つまり、違法派遣がある場合(1~4の場合)、派遣社員の派遣労働者の方が、「派遣先と直接雇用の労働契約を承諾します」と、労働契約締結の承諾をすれば、派遣先との間での労働契約が成立します。
これについては、雇止めの禁止の法理によって契約期間満了が許されなくなる可能性があります。
⇒非正規労働者(アルバイト・パート・契約社員)の方へ
派遣社員との雇用契約が残っているのに、会社の都合で仕事をさせなくなった場合、賃金を支払わないといけないことがあります。
これは、派遣先企業の問題になりますが、派遣先への直接雇用の請求については、最近の法律の改正を踏まえた判断が必要ですから、非常に難しい問題です。
専門の労働弁護士への相談は不可欠です。
違法な雇止めをしてしまった場合は、不当解雇のケースと同様に、派遣社員から地位確認を求められたり、契約更新による雇用継続を要求されたりすることがあります。
派遣の問題は法律改正も多く、適切な労務管理を行うためには、労働案件の経験のある弁護士や社労士への相談は不可欠かと思います。
お悩みの場合はすぐご相談していただくことをお勧めします。