未払退職金を請求したい方へ | 弁護士による企業のための労務問題相談

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未払退職金を請求したい方へ

相談内容

私は、大学を卒業した後、30年会社一筋で働き続けてきました。

ですが、先日、私が営業車で大きな事故を起こしてしまったことを理由に、会社から懲戒解雇を告げられました。

会社の就業規則には、「懲戒解雇の場合は退職金は支給しない」と定められているため、退職金は1円も出ないということです。

正直懲戒解雇は仕方無いと思っているのですが、会社の退職金規程によれば、私は数千万の退職金もらえたはずなのです。本当に退職金は1円ももらえないのでしょうか。

回答

労働契約書、就業規則、退職金規程、労働協約等で具体的な退職金の規程が定められている場合、会社に対して退職金の請求をすることが可能です。

ご相談のように懲戒解雇をされた場合に退職金が払われないというトラブルは多いですが、この場合でも、退職金を請求できることも多いです。

解説

1 退職金を請求するためには

⑴ 退職金の支給は会社に自由がある

まず、気をつけなければならないことは、退職金は、いつ、いかなる基準で支給するかについては、基本的に会社の裁量に委ねられているということです。

労働基準法でも、退職金を払うかどうかについての規定はありません。

つまり、退職金を払わない、という規定でも法律上問題はありません。

また、払うとしても、どの程度払うかについても、会社が自由に決めることができます。

⑵ 労働契約書、就業規則、退職金規程、労働協約等をチェックする!

退職金の支払を会社に対して請求するためには、労働契約書、就業規則、退職金規程、労働協約等の具体的な規定が必要です。

ここに、①退職金が支給されること、②支給されるその具体的な基準が定められていなければ、会社に対して「退職金を○○円払え!」と請求することはできません。

よく、「会社の業績に応じて払う」という規程になっていることがありますが、この規程ですと、②の具体的基準を満たすことは難しく、具体的な金額を請求することができないことが多いでしょう。

なお、こうした規程がなくても、支給金額の算定が具体的に決まっていて、長年運用が続けられている場合、労使慣行として退職金を請求することができることもありますので、諦めないで下さい。

⑶ 中小企業退職金共済事業団などの社外機関からの支払

会社の規程がなくても、毎月の積立によって会社外部の機関に退職金を積み立てていることがあります。

この場合は、会社の規程は関係なく退職金が払われることになります。

2 退職金でよくあるトラブル

特に長年勤務を続けてきた労働者の方は、退職金は非常に高額になることがあります。

そのことから、退職金を巡って次のようなトラブルが起きることがあります。

⑴ 解雇(特に懲戒解雇)されたために退職金が払われない

これは非常に多いトラブルです。

相談者のように、会社から解雇された場合に、「解雇の場合は退職金はでない」との説明の下に、退職金が全く支払われない(または一部しか出ない)というトラブルです。

特に、「懲戒解雇」の場合、就業規則において、「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」という規程が定められていることが多いですし、実際、懲戒解雇をされる心当たりのある方は、「こんなことをやってしまって、退職金なんかもらえないよな・・・」と、泣き寝入りすることは非常に多いと思います。

でも、果たしてこの会社の対応は正しいのでしょうか??

否、退職金を全額カットすることは、そう簡単ではありません。

退職金は、賃金の後払いの性格と、長年会社に貢献してきたという功労報償の性格の両方があると言われます。

ですので、退職金の不支給は、労働者のそれまでの勤続の功労を全て抹消するか、又は減殺してしまうほどの、著しく信義に反する行為があった場合に限定されると考えられています。

解雇されたとしても、退職金を全額カットされるのはよっぽどのケースだということです。

【裁判例】
某私鉄の職員が、会社を通じて痴漢撲滅キャンペーンを行う中で、痴漢を行ったことを理由に懲戒解雇された職員(しかも痴漢の前科あり)が、退職金全額不支給とされたケースがありましたが、この場合でも、裁判所は全額の不支給は許されない、と判断しています(小田急電鉄事件―東京高判平成15・12・11)。

⑶ 早期退職優遇制度に関するトラブル

会社によっては、通常の退職金に加えて割増退職金を支給する等の優遇措置と引き換えに、労働者の早期退職を促すという早期退職優遇制度が設けられることがあります。

この制度をめぐっては、早期退職優遇制度の利用を申し込んだにもかかわらず、会社が承諾せず、割増退職金をもらうことができなかったというトラブルがあります。

早期退職優遇制度については、その制度の設計や、実施時期、対象者、募集期間・人数、割増退職金の額等について会社に広い裁量が認められています。

どのような場面で会社が制度利用を承諾するのかについても裁量が認められるケースが多いので、その制度設計や、会社の説明の方法なども含めてしっかりと調べる必要があります。

3 退職金が払われない場合はすぐに弁護士に相談を!

退職金が払われるべき場面にもかかわらず、会社が退職金を払わない場合は、会社に対して退職金の請求をすることができます。

もっとも、退職金が請求できるかどうかについては、上でお話ししたとおり、様々な問題があります。

未払退職金の請求のためには、労働案件の経験のある弁護士への相談は不可欠かと思います。

そうした弁護士であれば、証拠の収集方法、会社との交渉、適切な法的手続の選択を行い、会社から確実な回収方法をチョイスし、ご提案することができるのです。

さらに言えば、退職金の請求権は5年で消滅時効にかかります(労働基準法115条)

お悩みの場合はすぐご相談していただくことをお勧めします。

弁護士法人戸田労務経営は、これまで多数の困難な退職金請求案件を解決に導いてきていますので、是非お気軽にお問い合わせ下さい。

→弁護士法人戸田労務経営の解決事例はこちら

4 弁護士法人戸田労務経営の未払退職金請求サポート

⑴ 交渉で請求する

内容証明の発送から出発し、未払い残業代を請求します。

退職金請求権の時効は5年ですが、早期に通知を行うことが重要です。

退職金の存在に特に争いがないケースでは、すんなり会社が払ってくることもあります。

⑵ 労働審判・訴訟で請求し、回収する

会社が退職金を払わない理由を主張し、退職金を払う気が無い。

そうしたら労働審判か訴訟で請求するしかありません。

労働審判か訴訟かは、それぞれの手続の特徴があります。

しっかりご相談させていただいた上で、その事案で最も適切な方法をご提案致します。

 

 

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