新型コロナワクチン接種に関する会社・企業の対応Q&A~No1 | 弁護士による企業のための労務問題相談

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新型コロナワクチン接種に関する会社・企業の対応Q&A~No1

弁護法人戸田労務経営です。

最近新型コロナウイルスのワクチン接種でよくあるご質問について、弊所所属の産業医兼務の竹口弁護士の知見も踏まえてまとめました。

ワークウェア社労士法人様との共同監修です。

※No2はこちら

Q1:ワクチン接種の法的性格とは?

A1:予防接種法第8条及び第9条より「市町村長及び都道府県知事が・・・臨時の予防接種を受けることを勧奨し、・・・対象者は受けるように努めなければならない」という行政の勧奨の上での国民の努力義務を有します。

最終的には労働者本人の自由意思に委ねられているとの見解を示しています(令和3年4月1日新型コロナウイルス感染症対策本部「基本的対処方針」、内閣衆議院質問204第35号令和3年2月19日等)。ここが以下判断の基本です。

 

Q2:ワクチン接種を受けるように従業員に強制することはできますか?ワクチン接種を勧めることもできないのでしょうか?

A2:ワクチン接種を強制することはできません。

上記のとおり、予防接種法8条で接種が勧められているとはいえ、使用者からの強制をすることはできません。

ワクチン接種は注射器によって身体の侵襲をするものですから、その意思決定は労働者個人に委ねないといけません。

これは、A1のとおり、最終的には労働者本人の自由意思に委ねる必要があるということが理由です。

たとえば「ワクチンを打たない」という人に対して懲戒処分等をすることはできません。ワクチンを打たない人を解雇したり、不当に人事異動をしたりすることは望ましくありません(ワクチン接種政府見解)。

なお、会社からワクチン接種を進めること(接種勧奨)は基本的に問題ありません。ただし、基礎疾患(心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患等)、過去のけいれん症状がある場合等、一定の場合は「予防接種要注意者」とされる場合もあります。こうした基礎疾患等があって、ワクチン接種を明確に拒否する労働者に対しては、過度の接種勧奨をするべきではないでしょう。

 

Q3:ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱いはどうなりますか?

A3:A1のとおり、基本的には接種は本人の自由意思となりますので、会社で任意に判断することで問題はございません

もっとも、厚生労働省は本件に関して「職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。」としています。

この点を加味すると、社会的な感染防止対策の一環として民間企業が協力するとした場合に、以下の対応をベースに考えていただくのがよろしいかと思います。

  1. 接種時間:基本労働時間としてみなす。ただし、半日以上就業できない場合は年次有給休暇(以下「有給」)取得を促す。
  2. 接種後:副反応(特に2回目)により体調不良の場合は有給取得による休暇を原則とする。
  3. 特別休暇:有給の未保有者及び不足者に対しては特別休暇を付与する(ワクチン休暇等)
  4. 接種帯同:家族の接種に帯同する場合は、上記に準ずる。
  5. その他:上記は最低ラインと考えますので、上記有給を特別休暇として付与する事は労働者有利の労働条件付与なので当然有効です。

多くあるのは、有給を取得させる対応ですね。特別休暇まで対応することは会社の義務ではありません。

 

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