1 派遣業界の企業の皆様へ(業界の基本情報)
人材派遣事業の市場規模は、世界的な景気後退の影響やコロナ禍における人材需要の低下など、様々なマイナス影響を受けてきましたが、近年は、経済活動の正常化に伴い前年度比ベースでの増加が続いており、2021年度は9兆2,000億円となっております(前年度比6.6%増)。
雇用者全体に占める派遣労働者の割合はおよそ2.5%で、2021年6月における派遣労働者数は約142万人となっています(2019年から比較すると減少傾向)。うち、女性の派遣社員数は男性のおよそ2倍で、30代後半~50代前半の子育て世代で特に多い状況です。男性の派遣社員は、60歳以上が多い状況です。派遣先での業務内容は事務・製造現場が大半を占めております。
近年では、人口構造の変化を背景とした人材確保の競争激化や、ロボット・人工知能による労働力代替など新たな課題が生まれており、人材派遣事業の各分野において特色ある経営戦略が求められる状況にあります。
2 派遣業における重要な労務管理ポイント
① 頻回な法改正への対応
1985年に成立した労働者派遣法は数次にわたる法改正を経ており、業界を取り巻く環境が日々変化しております。派遣業の許可を得ることや、更新を経て事業を継続することについても相当に大変な時代になっています。
また、平成30年6月のいわゆる働き方改革関連法案による改正が行われ、同一労働同一賃金の義務化により派遣先との派遣契約など、法改正や制度変更の適時のフォローアップが必須となっています。
この同一労働同一賃金対応については、大多数の企業が労使協定型を採用していますが、その協定の内容はかなり複雑であるため、導入することに相当な労力を費やした企業も多かったことと思います。
- 働き方改革への対応なら【働き方改革対応コンサルティング】
② 複雑な権利義務関係
また、派遣という契約関係の複雑さの問題もあります。派遣労働者は派遣元と雇用契約を結びながら、派遣先の指揮命令を受けます。このような三者関係のために、それぞれの権利義務関係が複雑になりがちです。
派遣元が派遣労働者の具体的な勤務状況を把握することが難しいことも相まって、労務トラブルの発生防止のため通常の雇用関係に比べて特に労務管理に注意を払う必要があります。
- トラブルのない人材雇用なら【人材採用・雇入れコンサルティング】
- 社内整備の対応なら【就業規則と社内規程コンサルティング】
③ 派遣先との契約トラブル
そして、派遣先との関係のトラブルもあります。派遣契約書の整備ができていないことから、派遣料の支払いや補償についてトラブルになることもありますので、書面のチェックは必須です。
3 労務応援コンサルティングの勧め
弁護士法人戸田労務経営では、派遣業の労務の全分野に渡るトータルサポートを実現します。特に、派遣業許可のサポートや派遣労使協定の作成、派遣先との派遣契約関係の対応などが多いです。
① 派遣業の特性に応じた日常の労務・法務アドバイス
② 派遣業に特化した雇用契約書・就業規則等の整備
③ 派遣業特有の書面・契約関係についてのチェック・書面作成対応
④ 派遣業に起きる紛争・トラブルを予防するための制度作り
⑤ 派遣業に起きる労使紛争の迅速な代理対応サポート