【速報】大阪医科大(大阪医科薬科大)事件最高裁判決、メトロコマース事件最高裁判決【同一労働同一賃金】

弁護士法人戸田労務経営の所長の戸田です。

10月13日、注目の最高裁判決が出ました。

大阪医科大(大阪医科薬科大)事件最高裁判決、メトロコマース事件最高裁判決の2件です。

いずれも、昨今話題になっている同一労働同一賃金を主たる争点として長きにわたって争われてきた事件です。

 

この2件が特に注目されていたのは、これまで最高裁では判断がされていなかった、「賞与」「退職金」について判断がされるためです。

同一労働同一賃金の枠組みの中で、パート・有期雇用労働者に「賞与」「退職金」支給しないことが違法になるか。

これは厚労省のガイドラインでもはっきりしない。

なんだか賞与については違法になる可能性が示唆されていますが、退職金に関しては全く記載を避けています。

なので、平場の企業にとってはどうしていいのかよくわからんというのが本音でした。

 

さて、私も速報レベルの情報しか得ていませんが、

大阪医科大事件(大阪医科薬科大)最高裁判決は、大阪高裁判決で正社員の賞与支給基準の60%を認めた判断を覆し、契約社員への賞与の不支給は不合理ではないとの判断です。

【(10月16日追記) 大阪医科大事件最高裁判決の解説を執筆しました。】

【(10月18日追記) 東京メトロコマース事件最高裁判決の解説を執筆しました

 

メトロコマース事件最高裁判決については、東京高裁で認めた退職金の一部支給の判断を覆し、ここも契約社員への退職金の不支給が不合理ではないとの判断です。

いずれも結論としては労働者側が敗訴した形です。

 

旧労働契約法20条についての問題ですが、有期・パート労働法の8条・9条に生まれ変わっています。

今後の同一労働同一賃金の枠組みを考える上で極めて重要な判断となります。

 

正直、地方の中小企業(地域NO1の中小企業も含みます)において、賞与・退職金をパート労働者・有期労働者にまできっちりと行き届かせている企業はかなり少数です。

工場を抱えている地方中小企業では、賞与や退職金について、パート従業員の方全てに支給するとなれば、極めて大きな負担となる。

来年2021年中小企業にも施行されますが、それに間に合わせるのは現実的に難しいという実情があるのが実感でした。

 

さて、今回の最高裁判決は、労働者側に少々厳しいものでして、

同一労働同一賃金を定めた旧労働契約法20条、現在の有期・パート労働法8条・9条が骨抜きになった、その存在意義が問われる不当判決だ、

そんな意見も出ています。

 

しかし、結論的に、今回の最高裁判決は、現状の企業内での労働者区分に沿った組織を踏まえ、労使の実態を探って判断を出したのではないかと思っています。

元々日本における労働条件の策定や決定は、労使間協議、特に労働組合を通じた労使交渉に委ねられてきた歴史があります。

長澤運輸事件最高裁判決においても言及されているとおり、労働条件は労使交渉による策定が基本なのです。

 

現在は組合組織率も低下しており、労使交渉が機能していない状況にあることは重々承知の上ですが、

労働基準法や労働契約法でも直接の規制にかからず、各企業の工夫や裁量にゆだねられている賞与や退職金についてまで、法をもって規制してよいのだろうか。

そもそも日本には本来的な同一労働同一賃金はない。

日本型同一労働同一賃金というのは正規労働者と非正規労働者の格差是正措置とみるべきものですが、法をもって格差を是正するということは、労働条件策定についての規制を広く認めるベクトルに働きます。

同一労働同一賃金を否定するわけではないですが、この「法律」による是正をあまりに広げすぎる方向性には疑問を覚えます。

 

というのは私の完全なる私見ではありますが、今回の最高裁の判断の背景にはそんな問題意識があるように思います。

今回の大阪医科大事件(大阪医科薬科大)最高裁判決、メトロコマース事件最高裁判決は、賞与と退職金に関する同一労働同一賃金について、一定の線引きをしたと言えるかと思います。

 

改めて、この事件詳細は、判決文等を読み込んで後日解説しようと思います。

【(追記)詳細解説】

大阪医科大(大阪医科薬科大)事件最高裁判決の詳細解説はこちら

東京メトロコマース事件最高裁判決の詳細解説はこちら

 

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