【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第11回:従業員の退職トラブル③勧奨のポイント) | 弁護士による企業のための労務問題相談

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【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第11回:従業員の退職トラブル③勧奨のポイント)

弁護士法人戸田労務経営です。

代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。

運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。

輸送経済新聞5月17日号掲載の第11回は従業員の退職トラブルについて取り上げました。

記事内容をご紹介します。

※紙面はこちら※

従業員の退職トラブル③勧奨のポイント

前回は、会社の方から別れを告げる「解雇」は、非常にリスクが大きいことを取り上げた。望ましい別れ方は、一方的ではなく双方納得での「きれいな別れ」だが、もちろん簡単ではない。素行や適性に問題があって手を焼く従業員は、自ら別れを切り出さないことが多い。得てして去っていくのは別れたくない相手というのが世の常(?)だ。会社が心を鬼にして、「別れ=退職」の説得をしなければ話が進まない。

会社からの説得に制限ない

ただ、慎重な会社は誤解をしていることがある。「会社から退職の説得をするのは違法ではないか」「違法な退職勧奨だとして訴えられてしまうのではないか」という質問を受けることが度々ある。だが、この疑問は間違いだ。

退職の説得は、退職勧奨と言われる。退職勧奨自体は合意退職をすることの誘いにすぎない。要は、お互いに納得して退職するため、労働者が自主的な退職をすることを促すこと。これは労働基準法や労働契約法には何の定めもなく、基本的には使用者が自由に行ってよい。

考えてみれば当然のことで、お互いが納得の上で「別れ」を選択することを制限する理由はない。使用者・労働者は、通常はかなり長い時間を共にする。マッチングしないのなら、お互いに別の道を選択することはある。そうした双方合意による退職について、法律が口を出すことはない。

強行的な方法は許されない

とはいえ、労使の力関係は無視できない。ややもすれば会社側が行き過ぎた退職勧奨をして問題になるケースもある。

退職勧奨は、労働者が自由に自主退職を選択できることが大前提だ。労働者の自由意思を阻害するような強行的なやり方をすれば違法となる。例えば、1人に対して大人数で取り囲むとか、退職届を書くまで数時間も帰らせないなどの退職勧奨などは危ない。

退職勧奨の際に注意すべきポイントは、まず、退職勧奨の意味を伝えて、受け入れるかどうかは自由であることを明確にすることだ。

退職を受けてもらえない場合に備えて、自主退職をするメリットの提示をすることも必要かもしれない。退職金の一定額の上乗せも、前回お伝えした解雇のコストを考えれば安い。

納得できるよう話し合いを

とはいえ、退職勧奨も結局は「別れてくれないか」という一方からの提案だ。結局は、労働者が自ら退職を選ぶかどうか、退職した方がお互いのためと思えるか、この点で納得できなければ、なかなか退職という重大な決断はしないだろう。

最終的には人と人、人間的に向き合いながらの話ができるかどうか、これが退職勧奨の鍵だということをつくづく感じる。

次回は、退職勧奨が功を奏した場合の合意退職に際しての書面のポイントなどを伝える。

 

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