【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第12回:従業員の退職④退職合意書とは) | 弁護士による企業のための労務問題相談

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【執筆】代表弁護士の戸田が輸送経済新聞でのコラムを掲載(第12回:従業員の退職④退職合意書とは)

弁護士法人戸田労務経営です。

代表弁護士の戸田が物流・輸送業界の専門誌である輸送経済新聞社で運送業での労務問題についてのコラムの連載についての紹介です。

運輸・物流業界の労務・法律問題に精通した企業側労務専門の弁護士として紹介されております。

輸送経済新聞6月14日号掲載の第12回は従業員の退職合意書について取り上げました。

記事内容をご紹介します。

※紙面はこちら※

従業員の退職④退職合意書とは

前回は、労働者の退職について、労働者と会社が双方納得での「きれいな別れ」が肝要であることをお話しした。

労使の認識の縺れやすれ違い等が労務トラブルを引き起こす。最後まで話し合いの姿勢は続けるべきだ。ただ、労働者が「わかった辞めます。」と言ったからと安心していたら、後になって「会社から解雇された」と態度を一変させて訴えてくる事案は数知れない。

退職に際して双方の義務をしっかりと確認する。そこで役立つのが退職合意書だ。

まず、退職を双方納得して合意したことが退職合意書の肝だ。しっかり署名押印した内容で交わせれば、後になって覆すことはできないので、解雇トラブルが発生することはまずない(表①)。新型コロナウイルスの影響で、離職事由が会社都合か自己都合かが重要になるケースが増えている。労働者にとっては失業手当が多くもらえる会社都合がよいが、会社にとっては雇用関係の助成金受給の関係で会社都合退職を避けたいことがある。

こうした観点から、退職合意書にも会社都合か自己都合かの離職事由を謳うことが必要なこともある。

その他、退職合意書では、退職する労働者側にも諸々のメリットがある形にしたい。その方が「サインした方がよい」というインセンティブが働く。

些細な事かもしれないが、会社が退職までの賃金を払うこと、残有給の消化を認めること(消化できない場合は買い取り)ということを書面で認めるだけでも違う(表②)。その他、傷病手当を受給しつつ退職する労働者が、健康保険の任意継続を認めてほしいと要望している場合に、その旨を書面に入れる等の配慮をしてもよい。

退職勧奨を素直に受け入れない場面では、退職金以外の上乗せの解決金(特別退職金)を支払うこともある。その場合、この解決金の支払は労働者にとって最大のメリットだ。解決金を支払う約束をしたのであれば、その旨文章に入れて退職合意書を交わすことは必須だ(表③)。書面を交わさずに解決金を払ってしまい、退職合意書を取り付けることができなかったという例もあるので気を付けたい。

なお、解決金を払わずに退職の合意ができている場合、解決金条項を入れる必要がないので、念のため。

反面、会社としても退職に際して労働者に守らせることはしっかり決めてしまいたい。

たとえば、引き継ぎを誠実に行うこと等、退職までのことについてもしっかり取り決めてしまうべきだ(表②)。貸与した制服や、社員証や保険証が戻ってこないことも多いので、その返却期限を決めること。他にも残置された私物の撤去も期限を区切った方がよい。特にドライバーはトラックに私物を大量に置いてそのまま取りに来ないために、処分に困ることがある。

その他、最近はネット上の口コミが匿名で書ける時代だ。また、会社の機密情報をペラペラと離されても困るので、信用保持条項・秘密保持条項でこれをブロックする必要がある(表④)。

また、特に上乗せ退職金を払う場合についてであるが、こうした特別な扱いを周りの社員に触れ回ってしまうと「我も我も」となる可能性がある。そうしたことを防ぐために、他言無用という秘匿条項を入れることが効果的になることもある(表⑤)。

最後は、他の問題も全て解決済みであることを確定する「債権債務無し」の清算条項だ(表⑥)。ここまで交わせばほぼ労務トラブルは防げる。

とはいえ、もちろんこれらを全て盛り込む必要はない。仰々しくなりすぎてもダメだ。結局は双方合意の内容を「確認」するだけの書面なのだから、個別の合意に沿って納得できる文書を作るべきだろう。

【退職合意書に入れたい内容】

①合意退職の確認 (文例)甲(社員)と乙(会社)は、甲が、乙を令和●年●月●日(以下、「退職日」という。)をもって、【自己都合/会社都合】により退職することを相互に確認する。
②退職までの取り決め 最終給与の支払、有給消化について、引継ぎを行うこと、貸与品返却、残置物の撤去等
③上乗せ解決金 (文例)乙は、甲に対し、本件退職に関して特別退職金として●円を支払う。
④秘密保持・信用保持 (文例)甲は、退職後も乙で知り得た機密事項、情報を外部に口外しないこと、乙の信用を毀損するような言動(SNS等インターネット上の表現を含む)を一切行わないことを誓約する。
⑤秘匿条項 (文例)甲と乙は、本件合意の内容及び本件合意に至る経緯について、第三者に口外しない。
⑥精算条項 (文例)甲と乙は、甲乙間には、本件合意に定めるもののほか、他に何らの債権債務の存在しないことを相互に確認する。

 

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